話題になった廃校で肝試し→パトカー登場→無断侵入した若者が直面する法的罰則とは【弁護士が解説】
ある日、Aさんとその友人は「誰も使っていない公共施設だし、少し入るくらい平気だろう」と、SNSで話題になっていた廃校に侵入した。肝試し感覚でしばらくの間楽しんでいると、パトカーのサイレンの音が近づいてくることに2人は気づく。
どうやら近隣住民が、Aさんたちのことを不審に思って警察に通報したようだ。その後、ふたりは警察署で取り調べを受けることに。
どんなに古びて放置されているように見える廃校であっても、無断侵入は思わぬ法的なトラブルや罪に問われる重大なリスクがある。では、敷地や建物へ勝手に立ち入った場合、どのような責任が問われるのだろうか。まこと法律事務所の北村真一さんに話を聞いた。
ー使われていない廃校や公共施設に入ると、何の罪になりますか?
使われていない廃校であっても、自治体や法人が所有・管理しているため建造物侵入罪(刑法130条前段)が成立します。この罪は、正当な理由なく他人が管理する建造物やその敷地に侵入した場合に適用され、3年以下の懲役又は10万円以下の罰金が科されます。
「誰も使っていない」「放置されている」といった状況であっても、法律上は管理者の権利が保護されています。そのため、肝試しや探検といった個人的な目的で敷地や建物内に無断で入る行為は明らかな違法行為となり、警察の摘発対象となります。
ー「鍵が開いていた」「柵がなかった」場合でも罪になりますか?
鍵の施錠や柵の有無に関わらず罪になります。建造物侵入罪で問われるのは「管理者の意思に反して立ち入ったか」という点です。鍵が壊れて開放されていたり、囲いがなかったりしても、所有者の承諾がない以上、立ち入りは違法と判断されます。
また、立入禁止の看板が設置されていない場合でも同様です。侵入経路が容易であったことは「立ち入ってよい理由」にはならず、過失ではなく故意による侵入とみなされます。「入れたから入った」という主張は法的に一切通用しないため、安易に足を踏み入れないことが重要です。
ー施設内の物を触ったり、壊したりした場合の罪や賠償額は?
物を壊したり落書きをした場合は器物損壊罪(刑法261条)となり、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料が科されます。また、持ち去った場合は窃盗罪に問われます。さらに刑事上の罰則だけでなく、民事上の損害賠償責任も発生します。
老朽化した施設や設備の修繕費用、防犯対策の再構築費用などが請求されるため、ガラス数枚を割っただけでも数十万~数百万円規模の賠償金になるケースがあります。若気の至りでの破壊行為であっても、将来にわたる金銭的・社会的な打撃は避けられません。
ー肝試しの様子をSNSや動画サイトに投稿すると、罪は重くなる?
動画投稿自体が独立した罪になるわけではありませんが、警察捜査の決定的な証拠となり、量刑(刑罰の重さ)に影響を及ぼします。投稿行為は不法侵入や損壊行為の自白と同義であり、警察への通報や摘発の直接的なきっかけになります。
また、収益化や「バズ狙い」目的の侵入は悪質性が高いと判断され、起訴される確率や罰金額が重くなる可能性が高まります。さらに、動画を見た第三者の侵入を誘発したとして二次被害の責任が問われ、管理者からの賠償請求額が増額する要因にもなり得ます。
●北村真一(きたむら・しんいち) 弁護士
大阪府茨木市出身の人気ゆるふわ弁護士。「きたべん」の愛称で親しまれており、恋愛問題からM&Aまで幅広く相談対応が可能。
(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)
