離婚の慰謝料に税金はかかるの?300万円を受け取った不安と真実 税金がかかるケースとは【税理士が解説】

夫の不貞行為により心に深い傷を負ったAさんは、弁護士を介した長く辛い交渉の末、ようやく300万円の慰謝料を一括で受け取ることで合意に至った。安堵したのも束の間、知人の何気ない「そんな大金が入ると、税務署から連絡が来るかもしれないよ」といった一言がAさんの心をざわつかせた。

心の傷の代償である慰謝料から、国は税金を徴収するというのだろうか。離婚に伴う慰謝料の税務上の扱いについて、正木税理士事務所の正木由紀さんに話を聞いた。

ー離婚による慰謝料に税金(所得税、贈与税)はかかりますか?

原則として、離婚の慰謝料に税金はかかりません。

慰謝料は、精神的な損害に対する「損害賠償金」としての性質を持っています。所得税法では、心身に加えられた損害に起因して取得する金銭は「非課税所得」と定められています。

したがって、Aさんが受け取った300万円に対して所得税がかかることはありませんし、贈与でもないため贈与税の対象にもなりません。そのまま全額を使っても問題ありません。

ー税金がかかるケースはありますか?

例外として、「社会通念上、あまりにも過大すぎる金額」である場合は、その過大な部分に対して贈与税がかかる可能性があります。

例えば、相手の収入や資産、不貞行為の程度から見て、数千万円や億単位といった常識外れの金額が支払われた場合です。また、本当は離婚する意思がないのに、税金を逃れるために偽装離婚をして財産を渡したとみなされる場合も、贈与税の課税対象となります。

ただし、一般的な相場の範囲内(数百万円程度)であれば、まず心配する必要はありません。

ー慰謝料を「現金」ではなく、「不動産(自宅など)」で受け取った場合、税金はどうなりますか?

不動産で受け取る場合は注意が必要です。まず受け取る側ですが、不動産の名義変更に伴う「登録免許税」や、取得後の「不動産取得税」「固定資産税」がかかります。これらは現金の受け取りにはないコストです。

さらに注意すべきは「支払う側」です。夫が自宅を慰謝料としてAさんに渡す場合、税務上は「自宅を時価で売却して、そのお金で慰謝料を支払った」とみなされます。もし、その自宅が購入時よりも値上がりしていた場合、夫に「譲渡所得税」がかかる可能性があります。

ー慰謝料を受け取る際に、税金トラブルを避けるために注意すべき点はありますか?

必ず「離婚協議書」を作成し、できれば「公正証書」にしておくことを強くお勧めします。

合意書には、「慰謝料として○○万円」、「財産分与として○○万円」といった名目を明確に記載してください。税務署から資金の出所を尋ねられた際、この書類があれば「これは非課税の慰謝料です」と堂々と証明できます。

口約束や曖昧なメモではなく、公的な証拠を残しておくことが、将来の安心につながります。

◆正木由紀(まさき・ゆき)/税理士 10年以上の税理士事務所勤務を経て令和5年1月に独立。これまで数多くの法人・個人の税務を担当。現在は、社労士や司法書士ともチームを組み、「クライアントの生活をより充実したものに」をモットーに活動している。私生活では2児の母として子育てに奮闘中。

(よろず~ニュース特約ライター・夢書房)

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