「おばあちゃんに作ってもらった!」東海地域で秋冬に楽しむお菓子「鬼まんじゅう」地域で愛され続ける正体
東海地方の隠れ郷土菓子「鬼まんじゅう」をご存知だろうか。
愛知県を中心に、岐阜県や三重県の一部で親しまれている鬼まんじゅう。東海地方でしかほとんど見られない、ガラパゴス的な郷土菓子だ。販売する地域ではスーパーや和菓子店で手軽に買えるのに、他の地域では「何それ?」と言われることが多い。
鬼まんじゅうは、小麦粉と砂糖を混ぜた生地に、角切りしたさつまいもをたっぷり加えて蒸したものが基本。もちもちとした生地と、ホクホクしたさつまいもの食感が絶妙で腹持ちが良く、東海地方では子ども時代におやつとして食べた思い出のある人は多いはず。
愛知県豊明市に本店を構え、鬼まんじゅうを販売する和菓子店「鶴の家」代表の古澤輝樹さんにお話を聞いた。
--何月ごろから何月ごろまで販売されていますか?
古澤:豊明市と星が丘三越にある実店舗では、9月から12月まで。楽天市場では通年販売しており、人気がある商品です。
--鬼まんじゅうにまつわる思い出、印象的なエピソードはありますか?
古澤:本店では、九州から名古屋に来るトラックのお兄さんが「九州では鬼まんじゅうは売ってないから」と年に数回、大人買いにご来店されます。年配のお客様からも、「昔よく作ったのよね」と懐かしそうに購入される方が多いです。若い方でも、小さい頃おばあちゃんに作ってもらった記憶を思い出しながら買ってかれますね。
私自身も、素朴で懐かしいおやつとして、昔を思い出せる大切な和菓子です。
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鬼まんじゅうが生まれたのは戦中・戦後の食糧難の時代。米が貴重な頃、手に入りやすいさつまいもと小麦粉で主食の代わりに作られたのが広まった。高度経済成長期には、安価で満足感のあるおやつとして家庭や和菓子店に定着。農林水産省の「うちの郷土料理」にも愛知県の代表として登録されており、地域の食文化を象徴する存在となった。
少し怖い名前の由来には、「表面のゴツゴツと突き出てたサツマイモが鬼の角や金棒を連想させるから」という説が。また別の説では災厄を「鬼」に例え、食べて封じ込める厄払いの意味も込められているそう。
インターネット検索すれば、ホットケーキミックスで作る手軽なレシピが沢山公開されている。縁起が良く、ほっとする味わいが魅力の素朴な郷土お菓子、鬼まんじゅう。ぜひ試していただきたい。
(よろず~ニュース特約・米田ゆきほ)
