「2025年冷凍食品トレンド大賞」 ワンプレート、万博店舗抑えた1位は物価高騰時代の“救世主”
年々、市場の拡大や消費者ニーズの高まりを背景に盛り上がりを見せている冷凍食品。冷凍食品PR連盟株式会社はこのほど、今年のトレンドワードを抽出し、メーカーや小売り事業者など業界関係者217人を対象にアンケートを実施、「2025年冷凍食品トレンド大賞」を発表した。
第3位は「大阪・関西万博(冷凍関連パビリオン)」。冷凍食品と万博には深い縁があり、前回の1970年の大阪万博では、ニチレイ(当時は日本冷蔵)が出店した「テラス日冷」や、ロイヤル(現ロイヤルホールディングス)が運営した店舗で、食事を素早く提供するため、冷凍食品やセントラルキッチン方式が本格導入された。この成功が、その後のファミリーレストランの普及、日本の外食産業発展の礎となり、さらには冷凍食品の発展のきっかけにもなった。
今年の万博では、進化した冷凍技術が再び「未来の食」として提示され、「テラスニチレイ」は冷凍炒飯技術と深刻な人手不足を解決する「自動調理ロボット」との連携を披露、シグネチャーパビリオン「EARTH MART」では、食材を無駄なく活用する「凍結粉砕技術」「再生米」「進化する冷凍食」など、次の50年を見据えた食のあり方を提案した。また、ケンミン食品はビーフン技術を応用した「グルテンフリーラーメン」を提供し、そのスープや具材に冷凍技術を活用。産業ガス大手のエア・ウォーターは独自の凍結技術で果実の鮮度と栄養を閉じ込めた高品質な「スムージー」を展開した。かつて「効率化」の象徴として登場した冷凍食品は、半世紀を経て「サステナビリティ(持続可能性)」や「ウェルビーイング」を実現する最先端技術へと進化し、その可能性を改めて世界に証明した。
第2位は「ワンプレート冷凍食品」。昨年の大賞である「ワンプレート冷凍食品」が、今年は2位にランクイン。これは一過性のブームではなく、現代人の食生活における「新しいスタイル」として定着したことを示している。主食とおかずがセットになり、トレーごと温めて皿いらずで完結するこのスタイルは、「究極のタイパ(タイムパフォーマンス)」として引き続き支持を得ている。「一食完結型」の食事(個食対応)である点や、「外食・中食」より安い(圧倒的なコスパ)という点も高評価だ。
今年の特徴は、従来の人気カテゴリーである和食や洋食に加え中華ワンプレートの登場、有名レストラン監修のプレミアムライン、管理栄養士が監修する「健康特化型」、さらにはコンビニ冷食のトレー化、定期配送(サブスクリプション)サービスの利用者が増加など、個人のライフスタイルや健康状態に合わせてメニューを選ぶ時代へと突入した。単身世帯の夕食だけではなく、共働き世帯のテレワークランチや、高齢者の栄養管理食としても活用シーンが広がっている。手間を省きながらも豊かな食体験を提供するワンプレート商品は、今後も市場を牽引するエンジンになると予想される。
第1位は「冷凍野菜」。猛暑や天候不順が常態化し、生鮮野菜の価格高騰と供給不安が年間を通して続いたことが最大の要因となった。年間を通じて価格が安定している冷凍野菜が「家計の救世主」として再評価され、かつての「生鮮の代用品」という位置付けから「普段使いの主役」へと地位向上を果たした。
新商品としてはイオン「トップバリュ」の冷凍きゅうりが注目された。水分が多く冷凍不向きとされた常識を覆し、解凍してもシャキッとした食感を実現したことは話題に。「安さ」だけではなく「味・品質・技術」で選ばれる時代へ突入した冷凍野菜は、2025年を象徴するカテゴリーとして、今後もさらなる市場拡大が期待されている。
(よろず~ニュース調査班)
