寒くなると増える「便秘」と「痔」 不足がちな水分補給はカフェインレスで 市販薬のみで経過観察より早めの診療

 猛暑のあとの急激な冷え込みに疲労困憊(こんぱい)している人も多いのではないでしょうか。思い違いかもしれませんが、最近は、私が幼少期のころに感じた心地よい秋という季節を感じる期間が極端に短く感じます。

 急激な寒さとともに、血圧が上昇します。脳卒中、心筋梗塞などが急激に増加してくる季節です。

 可能であれば、起床時にタイマーなどでお部屋を暖かくすることで、血圧の急激な上昇を抑え、心不全を予防することが可能です。

 トイレ、お風呂など寒い場所は、非常に注意を要します。脳卒中、心筋梗塞などの発症は、夜中、朝方に多く、屋内においては、トイレ、お風呂場などで多いことが知られています。トイレ、お風呂場にも、簡易的な暖房器具の設置が推奨されています。

 また、寒くなることで増えてくる病態が便秘です。水分摂取量が極端に減る方が多くなるのが、原因の一つと考えられています。水分と言ってもカフェインが多く含まれているコーヒー、紅茶、緑茶を大量に摂取すると大量の尿が排出されます。カフェインが出来るだけ含まれていない飲み物を摂取することが推奨されます。

 便秘とともに増える疾患が、痔です。

 痔は、大きく分類すると外痔核、内痔核、切れ痔の3種類があります。肛門には、歯状線という部分があり、そこより内側に出来る痔が内痔核、外側に出来る痔が外痔核と言われています。便秘によって、長時間気張ることにより、肛門がうっ血して起こります。

 内痔核、外痔核は血流支配や、上皮が違うために治療法が違います。市販薬のみで経過観察することはお薦めしません。切れ痔は、排便時に極端な腹圧をかけて瞬時に肛門を勢いよく拡張することで発生します。可及的に緩やかに肛門を拡張することが肝要です。

 切れ痔のできる仕組みがそのようになっていますので、硬くて太い便だけではなく、水様便やオナラでも切れ痔になることがよくあります。

 切れ痔を繰り返すと、治癒過程で切れ痔の両端が肥厚し、外側には肛門皮垂というイボのようなものが出来、内側には肛門ポリープが出来ることがあります。これらをいぼ痔(内痔核)と勘違いして来院される患者さんが、時折見受けられます。

 診察には、羞恥心を伴いますが、以前は入院をして切除していたいぼ痔が、最近は日帰りで切らずに簡単に治癒します。躊躇(ちゅうちょ)せず診察に来ていただきたいものです。

◆谷光利昭 兵庫県伊丹市・たにみつ内科院長。外科医時代を経て、06年に同医院開院。診察は内科、外科、胃腸科、肛門科など。

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