経済アナリスト・馬渕磨理子氏が詐欺広告被害 闘病写真を無断使用、問い合わせ殺到で疲弊「正しい情報を」

 実業家の堀江貴文氏や前澤友作氏ら著名人の画像をSNSで無断利用し、架空の投資に勧誘する“なりすまし”詐欺広告の被害が相次いで社会問題になっている。経済アナリストの馬渕磨理子氏は都内で開催された「2024年度の消費と金融のトレンド予測」と題したパネルディスカッションの席上、自身も名前や顔写真を無断で使用された投資広告の被害に遭っていることを明かし、正しい情報の徹底や対策を呼びかけた。

 馬渕氏はテレビやラジオ番組、ウェブニュースなど様々な媒体でのコメンテイター、著書出版、企業のアナリストや社外取締役を務めるなど、“日本一忙しい経済アナリスト”と称される存在になった近年、“なりすまし”の被害に遭ってきた。

 自身が代表理事を務める一般社団法人「日本金融経済研究所」のホームページで、21年頃から「なりすましアカウント」からLINEグループに誘導する事実や、SNSでなりすましアカウントを数多く確認していることを昨年9月の時点で注意喚起。一切、無関係であることを明示しているが、その被害の影響は現在も続いている。

 馬渕氏は4月7日付のX(旧ツイッター)投稿で「闘病中にも、なりすましアカウントが急増。入院中も問い合わせが途絶えず、精神的にも受け止め切れない。対応できないところまできています」と訴えた。

 同氏はレギュラー出演する読売テレビの番組「ウェークアップ」での特集に向けて昨年11月に受けた検診で乳がんと診断されたことを今年1月に公表しており、その闘病中にも自身の写真を悪用したアカウントで心ない詐欺行為が多発。現場復帰した今も、仕事にも支障をきたしていることをXで告白した。その上で、「11年間、金融業界にいますが『儲かる投資先を教えます』という言葉が最も嫌いな言葉です」と強調した。

 18日に行われたイベントは、共通ポイントサービス「Ponta(ポンタ)」を運営する株式会社「ロイヤリティ マーケティング」(本社・東京)が今年2月に20-70代の男女2894人を対象にした「現在の生活についての意識調査」の結果を元に行われた。馬渕氏はTOKYO FMの番組「馬渕・渡辺の#ビジトピ」でコンビを組み、フジテレビ系情報番組「Live News α」のコメンテイター仲間でもある消費経済アナリストの渡辺広明氏と共に参加。席上、馬渕氏は「今、詐欺が非常に多いですね。私もなりすましで写真を勝手に使われて、LINEグループで使われているそうです」と切り出した。

 馬渕氏は「世の中の雰囲気として『お金や投資は大事なんだ』ということは伝わっていると思うのですが、ちゃんとした詳細が伝わっていないがゆえに、詐欺が増えていると思います」とした上で、「テレビの取材で、実際に私のなりすましで被害に遭ったという方に接触できたそうですが、そうした詐欺に遭う方は、おそらくそういう情報が伝わっていないので、LINEで『私に預けなさい』というのを信じてしまうところは非常に問題です。政府も対策を取り始めているところですので、幅広い職業の方、年齢やお立場の方たちに正しい金融知識を届けていくことが命題になっていくと思います」と呼びかけた。

 この日は、さまざまな調査結果が紹介された。例えば、保有資産額について、男女ともに全体で「保有資産がない」が約20%以上いるのに対して、男女40代では「1000万円以上」が15-25%前後、「2000万円以上」が7-13%となっており、馬渕氏は「三極化」を指摘。富裕層ではない層にとっても、投資への関心はあり、その中でもNISA(少額投資非課税制度)を活用する人が増えていることを解説した。

 馬渕氏は「大学生との接点も多いのですが、『月々、8000円、貯金ではなく、横によけておくと、65歳で3000万円できます。8000円から資産形成してみませんか』と言いますと、大学生は『未来に対して明るい気持ちになる』とおっしゃいます。外食をお弁当にしたり、ペットボトルではなくて水筒にお茶を入れて節約するとか、バイトを1回多く入れるとか、そうして資産形成できるのは驚きだと言われるんですが、そうして少額からできるということが、まだまだ知られていないところが課題だと思います」と語った。

 そして、馬渕氏は「例えば、NISAで『8000円、横によけておけば』ということを知っていれば、だまされる方もいなくなりますし、安心材料につながり、それが消費に向かっていく。日本経済が本格的に浮揚していくためには、みなさんの心を前向きにしていくことが大事だと思います」と呼びかけた。

 翌19日、同氏は改めて詐欺被害についてX投稿。「ホンモノですか?」という自身への問い合わせが月200件を超え、個別の返信も難しく、精神的な負担を被っていることを明かした上で「日本の信頼できるプラットフォームがあればと思ったりします」と提言。さらに、23日付投稿で「なりすまされた側は疲弊しています」と訴えた。

 収拾しない著名人のSNS詐欺被害を受け、自民党はフェイスブックを運営する米IT大手メタに対し「広告停止の検討」を要請。政府は6月をめどに総合的な犯罪対策プランを策定する方針という。今後の動向が注目される。

(デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)

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