大ヒット「ゴジラ-1.0」初代に比べ足りないのは「スケール感や人間ドラマの深み」“ゴジラ命”芸人が指摘

 映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」(山崎貴監督)が米国でも注目されているが、日本のマニアはどう見ているのか。ゴジラを観ることが「使命」という、お笑い芸人でコラムニストのなべやかんが、その“元ネタ”であり、ちょうど70周年となる第1作の東宝映画「ゴジラ」(1954年公開)と比較して、「初代にあった今作に足りないもの」を指摘した。

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 『ゴジラ-1.0』が大ヒット!ゴジラに魅了され、人生を捧げて来た自分にとってこんなにうれしいニュースはない。TikTokでコレクションの数々を紹介していているが、ゴジラ関連には数千万円つぎ込み、寝ても覚めてもゴジラを考えて暮らしている。日本でゴジラ映画が作られ映画館で新作が観られるのはうれしいが、-1.0を観て「う~む」と思ってしまう事もあった。山崎監督のゴジラは初代のリメイク的作品。となると、自然と初代と比較される。

 今回気になったのがスケール感の違いだ。どちらの作品も戦後日本が復興を遂げようとしている所にゴジラが襲ってくるというものだが、-1.0の場合、このスケール感が小規模に感じてならない。

 初代は日本の危機を感じるが、-1.0は“三丁目のゴジラ感”がある。火事が起きた時、消防署が出動するのと消防団が出動するのとでスケール感が違うでしょ?そんな感じ。CGもすごいし、迫力はあるけど“おらが町のゴジラ退治”“みたいに感じてしまう。映画に例えると『インディペンデンス・デイ』と『世界侵略:ロサンゼルス決戦』の違いのようなものだ。宇宙人と地球規模(アメリカが中心)で戦うのと、一つの小隊が戦うのでは、観ていてスケール感が違う。それを今回感じてしまった。

 人間ドラマの深みも違う。初代はアメリカをゴジラに置き換えたようなものなので、核を落とされた日本人の想いや戦時中の大和魂が感じられる。オキシジェン・デストロイヤーを作り、使用した芹沢博士がゴジラと共に心中するシーンは唯一の被爆国である日本人の想いが込められている。

 -1.0の最大の問題はゴジラデザインがハリウッド寄りという事だ。山崎監督がハリウッドゴジラがかっこ良いと感じているなら議論の余地もないが、ゴジラが何故、世界的に人気のあるキャラなのかをもう一度考えて欲しかった。ゴジラのかっこよさとは何か?ゴジラをかっこよく見せる黄金比率とは?そういった事を学んで欲しい。

 これはハリウッドにも言える。ハリウッドはクリエイターが自分のオリジナル感を入れたかっただけに過ぎないので見習うべきゴジラではない。シン・ゴジラでさえ、シルエットは初代ゴジラなのだから。-1.0を観て感じたのは、昭和29年に完璧な映画を作ったという事だ。スケールの大きさや日本人の想いや力強さを、初代を観て再確認して欲しい。

(コラムニスト・なべやかん)

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