ホストに「ハマる」女性たち “泥沼”から抜け出せない理由「同業者の相互理解」「婚活アプリで本気に」

 高額な売掛金が支払えない若い女性に売春を強要するなどのケースが多発し、社会問題化している「悪質ホスト」。ついに国会でも取り上げられ、国が対策に乗り出す事態になった。ジャーナリストの深月ユリア氏が「占い師」としても活動する中で、ホストとの関係に悩む女性たちから聞いた「ハマる理由」を紹介する。

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 筆者はジャーナリストの仕事の他に占い師もしているが、ホストに貢ぐ女性たちからの悩み相談が絶えない。

 【ケース1・同業者との相互理解】

  繁華街近くの占い館では、ホストにハマるキャバ嬢・風俗嬢(※前者はキャバクラにホステスとして勤務する女性、後者は性風俗店の女性従事者)からの悩み相談も受けている。

 筆者が勤務する占い館に訪れた20代のA子さん(キャバクラ店勤務)の相談は「仕事帰りにナンパされたホスト(20代)と付き合っている。店にも行って貢いでいる。だけど、彼には複数『彼女』がいるかもしれず、『本カノ(本当の彼女)』なのか占って欲しい」というもの。

 筆者の知人のホストやキャバ嬢の話を聞くと、ホストの多くは複数の客と店の外で会って疑似恋愛をするが、その中には「本命の彼女=本カノ」がいることもあるという。「本カノ」の他には、太客(※ふときゃく=大金を使ってくれる客)であり、営業に力を入れるべき「本営」、共通の趣味を餌に営業する「趣味カノ」や、家に住まわせてくれて家賃を払ってくれる(ヒモになれる)「宿カノ」がいることもある。

 なぜホストにハマるのか。A子さんは「普通のリーマン(※サラリーマンの略称)は私の仕事を理解してくれない。話をしてもつまらないし、こっちが気を遣わなければならない。ホストなら同業者で、仕事を理解してくれて一緒にいて気楽。私を理解してくれるのは彼しかいない」と語る。A子さんは占い鑑定中、終始不安でイライラしている様子だった。女性を精神的に不安定な状態に追い込み、一生懸命稼いだ金を貢がせるホストは決して「良き理解者」ではないとは思うが、まさに「恋は盲目」だ。

 また、20代の風俗店勤務の女性からは「10代から家出をしていて、歌舞伎町で“パパ活”して身体を売りながら漫画喫茶暮らし。そんな自分でも受け入れてくれるホストにハマり、指名ホストと自分の生活費を稼ぐために風俗嬢として働いている」という話を聞いた。

 【ケース2・婚活アプリから“本気”に】

 「同業者同士」の他に、昨今、「ホストとの出会いのきっかけ」で多いのはマッチングアプリだ。

 都内に住む30代の会社員B子さんは泣きそうになりながら「彼は本当に私のことが好きなんですか?それとも、私はだまされているんですか?占ってください」と占い館を訪れた。

 B子さんは婚活のためにマッチングアプリに登録。アプリで自営業者を自称する20代男性を見つけて会ったところ、初回のデートで「好きだ。結婚前提に付き合ってください」と告白された。年齢的にも婚活に焦るB子さんは、あまりに早期スタートな交際を不信に思いながらも快諾した。しかし、3回目のデートで「実は、嫌われるのが嫌で言わなかったけど、俺、ホストなんだ」と告げられた。そして、「お代は俺が払うから、俺の店に来てくれない?指名客がいなくて困っているんだ」と相談され、ホストクラブに同行。そこから、「最低料金の1万円だけ払ってくれない?」「今日はノルマがあって、少しでいいから売り上げに貢献してくれない?」と要求はエスカレートしていったという。

 そして、「仕事が忙しいから」という理由で、プライベートでのデート回数は減った。その男性に会うにはホストクラブに行くしか方法がなくなり、貢ぐあまり貯金も底をついた。

 B子さんは男性経験が少ない方で、「一度付き合った以上、手放したくない」という執着があった。「だまされている」と気がつきながらも、「もしかしたら、彼は本気で私を愛しているかもしれない」というかすかな希望を捨てきれないようだった。

 筆者の知人で“ナンバーワン・ホスト”という40代男性は「婚活アプリはホスト、キャバ嬢がカモを捕まえるための格好の場になっている。また、献身的な女性ほど『ホストの泥沼』から抜けられない。キャバ嬢は客と店外で会う時はほとんど金を使わない。ホストは女性におごることが多い。男性に献身的な女性ほど『良くしてもらった分、尽くさなきゃ』と思うのだろう。稼いでいるホストは『献身的な女性』を見分ける嗅覚がある」と解説した。そして、尽くせば尽くすほど、金をつぎ込めばつぎ込むほど、「執着」も強くなり、「泥沼」から抜け出せなくなるのだろう。

 以上が顕著な2例となる。また、その他にも「家で旦那にモラハラを受けていて、女として大切にされていない。この年になっても女として見てくれて、優しくしてくれるホストにハマった」という50代主婦からの相談もあった。女性の年齢層も幅広いようだ。

(ジャーナリスト・深月ユリア)

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