元宝塚トップスター髙汐巴「洗いざらい書きました」生い立ち、退団前後の苦労など 33年ぶりエッセイ発売

元宝塚花組トップスターで、80年代を代表する男役として活躍した女優・髙汐巴が昨年、芸能生活50周年を記念して33年ぶりのエッセイ本「我輩はぺいである」を出版した。

これまでの人生、50年を迎えた女優としての自分を、笑いを交えた筆致で書かれた内容は必読。さらなる活躍の場を広げる髙汐に話を聞いた。

--33年ぶりのエッセイを書かれてみていかがでしたか?

髙汐:ずっと書く、書くって言いながら30年以上も経っちゃいました。でも、ちょうど女優として50年を迎えたし、母親も昨年亡くしまして、嬉しいことも悲しいことも含めて、自分にとって人生の大きな区切りになったことで、ようやく本腰を入れて書くことができました。もう、割りと洗いざらい書きましたね。もう盛ったりする年齢じゃないですし(笑)。基本的には、自分はこういう生い立ちがあって、結果的にこういう人間が形成されたんだよっていうことを本に残せたらいいなと思って書きました。

正直なところ、本当はもっといろんなことを書きたかったんですけど、なんせ「すみれコード」がありますから、若干のオブラートに包ませていただきましたが(笑)。初出しのことがほとんどなので、ファンの方も含めてお読みになった方はきっとびっくりされてるんじゃないかなと。ただ読んで面白かったって感想では片付かない内容なので。

--具体的にはどんなことを?

髙汐:そうですね、幼い頃のこと、両親のこと、その両親と私の関係であったり、あとは退団までのエピソードと心の葛藤とか。私に、割と苦労なく育ってきたイメージを持ってらっしゃる方たちが多いんですけど、実はいろんな苦労があって、その頃のことは役者としてはすごく役に立ってるんです。その辺に今回書きながら改めて向き合いましたね。

--例えばどんなことが役立ってらっしゃいましたか?

髙汐:義理の母と新しい家庭で暮らしたことがね、やっぱり他人がいる中で育ったということで、子ども心に空気を読む、人のことを察してしまうっていう習性が自ずと身についたというか……。でもそれが宝塚で主役をさせていただくにあたって、上級生に対しても、後輩に対しても気持ちを察することが当たり前にという、いい意味でも悪い意味でもそういう術やアンテナを持っちゃったという。

昔、宝塚歌劇団の脚本家で演出家だった柴田侑宏先生に「君は水を弾く陶器だ」って言われたことを凄く憶えてるんですよね。お付き合いの仕方にどこか殻があるという意味合いだと思うんですけど、確かにそういう部分はあるなと。距離感の詰め方が相手の胸の内にドーって入り込めない。常にピンと張ってなきゃいけない自分がいました。そういう気持ちもこの本の中でも感じてもらえるかもしれないですね。

--この本の巻末には、宝塚の後輩、真矢ミキさんと、初代林家三平師匠の奥様、海老名香葉子さんとの対談もありますね。

髙汐:真矢さんは、宝塚では私の9期後輩。その更に下級生に真琴(つばさ)さんや愛華(みれ)さんたちもいます。彼女たちは私の主役時代の「愛あれば命は永遠に~ナポレオンとジョセフィーヌ~」で初舞台を踏みました。みんな私の息のかかった後輩たち(笑)。それ以来、慕ってくださっています。今回久しぶりに真矢さんと対談でき、本当に楽しかったですね。彼女も下級生に戻ったみたいって言ってました。真矢さんも退団してから女優として活躍されてますけど、やっぱり頭打ったってことを語ってくれてて、私も共感する部分が随分とありましたね。

海老名香葉子さんは、私の愛称が“ぺい”って言うんですけど、本名が美子(よしこ)なんです。旦那さんの三平師匠のギャグ「よし子さん」というのがあって、そこから付けられたんです。そういう縁で、以前からいつかお会いしたいと思っていて、今回実現しました。

師匠はミュージカルも宝塚もお好きだったそうで、「髙汐さんの愛称が自分のギャグからと知ってたら本人もさぞかし嬉しかったでしょうね」って言っていただいて光栄でした。香葉子さんが話してくださった戦中戦後の生き方が、私の母親とダブるところがあってね、とてもシンパシーを感じました。

--大阪芸術大学の芸術学部舞台芸術科で客員教授をやってらっしゃることも書かれていますね。

髙汐巴:芸大に通ってもう10年過ぎました。最初は大変でしたけど、今思うと凄いプレゼントをいただいたなと思ってます。

これまで自分がやってきたことをもう一度、確認して伝えることの難しさね。最初の3年は、どうやって伝わるか、伝わっているか模索しながら無我夢中でした。随分年齢も離れているから今も通じてるかしらって疑心暗鬼になりながら授業をしています(笑)。

◇ ◇

50年の芸能人生を経て、新たなステップへ進んでいる髙汐。「我輩はぺいである」を読んで彼女のさらなる活躍に注目してほしい。

◆「我輩はぺいである」

定価/3500円(税込)

通信販売のみ

問い合わせ Tel:070-3191-0122(高汐巴後援会)

◇ ◇

髙汐巴(たかしお・ともえ)

京都府京都市出身。1972年に宝塚歌劇団入団(58期)。1983年9月に花組トップスター就任。1987年12月退団。以後、舞台やテレビ、映画などで活躍。

(よろず~ニュース特約・仲谷 暢之)

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