「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」あす開幕 生前の希望に従い2年越しの開催

 「忍者ハットリくん」「怪物くん」などで知られ、今年4月に88歳で死去した漫画家・藤子不二雄Ⓐ(本名:安孫子素雄=あびこ・もとお)さんの特別企画展「藤子不二雄Ⓐのまんが道展」(12日開幕)の記者発表会が11日、東京・トキワ荘マンガミュージアムで行われた。

 同館の所在地ある豊島区の高野之夫区長は、同館完成間近の2020年6月、藤子Ⓐさんと対談した際、「ぜひ『まんが道』の企画展を1番目にやってほしい」と依頼したが、藤子Ⓐさんからトキワ荘にゆかりの深い寺田ヒロオさん、手塚治虫さんの展覧会実施後なら検討すると返答されたという。その言葉通り、20年10月に「トキワ壮のアニキ寺田ヒロオ展」、21年8月に「トキワ荘と手塚治虫展」が開催された後に実現。約2年越しの念願がかなった。高野氏は「きっと天国から本展を見守ってくださると信じております」と話した。

 「まんが道」は、藤子不二雄Ⓐさん自身が歩んできた漫画人生をモチーフに、88年の生涯の半分近くをかけて描かれた。主人公の満賀道雄がプロの漫画家として成長していく物語。企画展では、同作の舞台となったトキワ荘での暮らしや手塚治虫さん、寺田ヒロオさんら漫画家仲間たちの交流が紹介される。

 藤子Ⓐさんのペンタッチを見ることができる「まんが道」の直筆原稿14点や、老朽化で1982年にトキワ荘が解体された際、藤子Ⓐさんが持ち帰ったトキワ荘14号室の壁など貴重な物品を展示。大きなコマと太い黒枠で囲むことで読者にシーンの重要性を伝える手法など、「まんが道」で駆使された藤子Ⓐさんによる独特のテクニックを紹介。漫画家、クリエイターを目指す人の参考になればという願いが込められた。企画展は来年3月26日まで開催される。

(よろず~ニュース・松田 和城)

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