「クマのプーさん」の世界観を体験しながらたどる展覧会 “夢のような時間”が空間全体に

 「クマのプーさん」展が東京・立川市のPLAY! MUSEUMで開催されている。「クマのプーさん」(Winnie-the-Pooh)は1926年、イギリス人作家のA. A. ミルンが物語を、E. H. シェパードが挿画を描いた子ども向けの作品。展覧会は、シェパードが出版社のダットン社のために1950~60年代に描いた原画約100点と、ミルンのことばとで、クマのプーさんの物語世界をたどる。クリストファー・ロビンが大好きなプーや仲間たちと過ごした時間が空間全体に広がる。

 同館の名物である楕円形の展示室が、物語の舞台である「百町森(100エーカーの森)」を現出させる。草木や風、水を想起させる空間の中、原画を物語や詩とともに堪能し、クリストファー・ロビンとプーや仲間たちが過ごした「夢のような時間」を体験する場となる。「百町森」に向かう道をゆくと、「森のなかを行こう」と題した文章が登場。プーさんの物語の舞台となった、イングランド南部のアッシュダウンの森にも訪れたことのある、作家の梨木香歩による書き下ろし。原作をオマージュしたリズミカルな言葉たちと、時節によって様々な表情を見せる森の様子を綴っている。「クマのプーさん」シリーズ4冊の中では2冊の詩集『クリストファー・ロビンのうた』『クマのプーさんとぼく』の知名度が低いが、「百町森」では、2冊をまとめた本と、2冊からの抜粋集のために描かれた原画を、複数の詩とともに展示する。詩の一部は、ミュージシャンの坂本美雨が朗読を担当する。

 緑、青、黄、赤色の大きな布が広がる「百森町」の空間には、なだらかな丘を想起させるスロープや階段があり、東京・檜原村の木材を活用した展示ケースや、桃色、紺色の額縁に、シェパードが描いた小ぶりの原画が収められている。木材は、持続可能な森づくりをテーマに活動する東京チェンソーズの協力を得た。「クマのプーさん」展は、空間デザインを建築家・デザイナーの齋藤名穂が、グラフィックデザインは展覧会のポスターや図録のデザインを担当する田部井美奈が手がける。

 知っているようで知らないプーさんのこと、プーさんがどうしてここまで愛されているのか。「クマのプーさん」をはじめイギリスの児童文学に造詣の深い、同展監修者で聖心女子大学の安達まみ教授が、物語を生んだシェパードとミルン、プーやイーヨーなどのキャラクター、「てまみ」や「なんにもをする」といったキーワードが印象的な日本語版を誕生させた石井桃子や吉野源三郎らについて解説。1924年に生まれたプーさんが今日も世界中で愛され続ける秘密が、A からZ の26項目に厳選された。安達教授の解説に加え、写真やパネル、ミュージシャンの坂本美雨による物語の朗読、スタイリストの伊東朋惠が選んだつぼや古時計、雨傘などのアイテムで立体的に彩られた。

 展覧会では、アッシュダウンの森の朝から夜を、空から野原から、草花や木々、川や空、そして風までを体験できる映像インスタレーションを展示する。プーさんの物語の舞台となったイングランド南部のアッシュダウンの森は、ミルンが幼い頃に父や兄とともに徒歩旅行した場所であり、ミルン一家が週末や休暇を過ごした場所。撮り下ろしの美しい映像が映し出された複数のスクリーンと、音や香りが織りなす特別な空間で、プーと仲間たちに思いが至る。撮影、編集、会場構成は岡本香音が担当した。

 また、会場限定グッズの販売、館内のカフェではイギリスをメーンにしたメニューを展開。上階にある、子どものための屋内広場 PLAY! PARK(別料金)では本展の開催を記念した遊具やワークショップを企画。プーさんたちの暮らしを感じる遊びを展開する。同展は10月2日まで開催。10月8日から11月27日までは名古屋市美術館へ巡回予定。チケット等の詳細は公式サイトまで。

(よろず~ニュース編集部)

関連ニュース

編集者のオススメ記事

サブカル系最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    デイリーおすすめアイテム

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス