やなせ氏最後の「アンパンマン」公開へ

 昨年10月に心不全のため亡くなった「アンパンマン」の生みの親、やなせたかしさんをしのぶ会「ありがとう!やなせたかし先生 95歳おめでとう!」が、やなせさんの誕生日となる6日、都内で行われ、ファン3000人が参列した。声優の戸田恵子(56)はアンパンマンとして弔辞を読み、感謝を伝えた。やなせさん原作の最後の劇場版「それいけ!アンパンマン りんごぼうやとみんなの願い」は7月5日から公開される。

 アンパンマン、バイキンマン、てんどんまん…。350体の人形に囲まれた華やかな祭壇で、やなせさんはほほ笑んでいた。

 遺影は、昨年5月に日本橋三越で開催された「アンパンマンとやなせたかし展」で撮影されたもの。昨年10月13日の逝去後、葬儀・告別式は近親者で執り行われたが、しのぶ会は、本人が構想を持っていた生前葬をイメージし、にぎやかで楽しいものとなった。

 弔辞は“長男”から送られた。祭壇の前にアンパンマンが立つと、会場の隅から戸田が声で魂を吹き込んだ。「先生はみんなを楽しませるのが大好きでした。だから、今日は笑顔で伝えます。僕たちをいつまでも天国から見守っていてくださいね」。お別れの言葉に、駆けつけた幼稚園児たちの「アンパンマンだ~!!」の声が続いた。

 7月にはシリーズ26作目の新作映画が公開されることも発表された。やなせさん原作としては最後で、東日本大震災後に始まった復興三部作の3作目。「望郷と故郷の再建」がテーマという。世界中にリンゴの木を植えるため旅している「りんごぼうや」とアンパンマンの物語だ。

 来年以降も、映画、アニメとも継続していく方針も示された。原作を出版するフレーベル館の関係者は「やなせイズムを継承していく」と明言した。戸田は「1本でも多く、子供たちのために放送を続けていきたい」と決意を新たに。天国のやなせさんに見守られながら“子供たち”の旅は、これからも続いていく。

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