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【大橋未歩アナ】万が一、中止の判断下す時は選手に言葉を

 「大橋未歩のたまたまオリパラ!」

 先日東京2020観戦チケット事務局からチケットに関するお知らせが届いた。概要は、変異株による国内感染状況も踏まえ6月に観客上限が判断されることと、観戦の機会が提供できなくなった場合には払い戻しがあるということだった。

 大阪での変異株による感染拡大や医療の危機的状況を見ていると、オリンピック・パラリンピックの意義を再考する必要があると感じる。「スポーツの力」や「レガシー」という耳障りのいい言葉では、命の危機に晒されている国民の賛同は得られない。ワクチンが行き渡らない中で、様々な変異株が確認されている世界各地から選手団を招く不安を払拭できるだけの意義を知りたいはずなのだ。

 振り返ると、私の人生はスポーツに背中を押されることが多かった。アナウンサーを志したのもバルセロナ五輪を観てこの舞台を取材したいと思ったから。まさに夢や目標を与えてもらった。第一志望大学を目指し浪人していた時は、フランスW杯最終予選での岡野雅行選手の決勝ゴールに鼓舞された。出場機会なしからの逆転ストーリーは、浪人している自分と重なった。合格できたのも、己を信じることを教えてもらったことと無関係ではない。

 しかし一方で、15歳の時、阪神淡路大震災で被災した年に優勝したオリックスのことは覚えていなかったりもする。「がんばろうKOBE」をスローガンに一丸となり、被災地を本拠地とするチームが優勝した感動的な物語は私の記憶のどこにもない。今思えば、当時の私は震災以外のことを受け止める余裕がまだなかったのだと思う。スポーツの力は確かにあれど、届く時と届かない時があるのかもしれない。

 東京2020が延期された際に話したある代表選手の言葉を思い出す。「東京パラでメダルが獲れたら、もう僕死んでもいいと思ってるんです。それぐらい人生賭けてるんです」。そんな彼も医療従事者に思いを馳せては逡巡(しゅんじゅん)しているに違いない。みんなが苦しい。

 正解は誰にも分からない。だが、万が一、東京2020を中止するという判断を下す時が来たら、トップにお願いしたいことがある。「選手の皆さんのおかげで救われる命や人生がある」と、ちゃんと言葉を紡ぐことを忘れないでほしい。

 ◆大橋未歩(おおはし・みほ)1978年8月15日、神戸市出身。フリーアナウンサー。2002年入社のテレビ東京時代にアテネ、北京、ロンドン五輪を取材。18年にパラ卓球アンバサダー就任。19年から「東京2020パラリンピックの成功とバリアフリー推進に向けた懇談会」メンバー、パラ応援大使でも活躍。

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