世界的グループ元メンバー 詐欺集団に名前を不正利用されていた サッカークラブ買収めぐるクラファンでトラブル

 元ワン・ダイレクションのメンバーで歌手のルイ・トムリンソンが2014年、故郷のサッカークラブ、ドンカスター・ローヴァーズ買収をめぐるクラウドファンディングを率いたものの、実は詐欺グループがルイの名を利用して不正資金を流し込もうとしていたことが裁判で明らかになった。

 当時、600万ポンド(約12億円)を目標に掲げた資金調達キャンペーンは、ファンと地元の支援者に熱狂的に受け入れられ、トム本人もクラブを強豪に変える夢を語っていた。しかし、主要な出資者とされた3名は年金詐欺団の一員で、被害者の年金を着服して投資資金に充てていたという。

 裁判で明かされたところによると、詐欺の首謀者ケビン・フェラン(62)はダニエル・ジャイルズ、エイドリアン・バッシュフォースらと共謀し、被害者の貯蓄を「無料の金」として自宅や高級住宅のローン、生活費に流用していた。

 フェランは2013年にジョン・ライアン元会長に買収話を持ちかけ、あたかも大口投資家がいるかのように装ったが、実際は破産状態で、唯一の出資金50万ポンド(約1億円)も詐欺仲間からの横領資金だった。二度の買収を試みた後、翌年ルイがプロジェクトに加わったという。

 詐欺団は英チェシャー州のルイの自宅やダブリン公演後の会合で、買収成立時にクラブの70%の権利をベリーズの投資会社に移す契約を締結。裁判資料には資金源が盗まれた年金であることが示され、一部被害者は生涯の貯えを失ったとされる。しかし、最終的に集まった資金は目標の10%にあたる60万ポンド(約1億2000万円)にとどまり、買収は頓挫した。

 ルイは当時「騙された」「クラブとコミュニティのためだけに協力した」「一銭も得ない契約条項を自ら要求した」と強調。詐欺首謀者のフェラン、ジャイルズ、バッシュフォースは来年1月に量刑が言い渡される予定で、実刑が見込まれている。

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