【ヤマヒロのぴかッと金曜日】自給自足への憧れだけがモチベーション 悪戦苦闘だらけのコメ作りを終えて

 農地を借りてたかだか4年しか経っていないのに、『農業』と『ラジオ』をくっ付けて『農ラジ』などとラジオ番組で好き勝手、時にはトンチンカンなことを話して失笑を買っている私だが、まあそれでも野菜づくりに関しては少しは農家さんと話せるようになってきた。農作業を始めた動機は『個人食料自給率』を上げるためだ。自分が食べる分のうち、どれだけ自分で作れるか。ホームセンターで苗を買うだけでなく、タネから育ててみたいと、日々挑戦している。

 AIの不正アクセスで物流システムが止まったとしても、悠然と自分の畑から大根を引っこ抜いてきて自家製味噌でふろふき大根を作り、口いっぱいに頬張ってるじいさんってカッコいいじゃないか……。

 野菜だけでなく、チャンスがあればコメ作りにも挑戦したいと考えていたら、今年、海坊主さん(勿論、ラジオネームです)から「ウチの田んぼでやりませんか」と声をかけてもらった。家からも近いし、半反(150坪程度)と広さもちょうどいい。「やってみたい」と、スタッフや出演者からも声が上がった。

 (漫才師・メッセンジャーの二人から「ヤマヒロはサツマイモ掘りを若い子達に手伝わせている」かのようなことをラジオで言われているのでここはハッキリさせておくが、「イモもコメも決して強制ではなく、参加者はみな自発的に集まっていますので!」)

 ただ、今回ばかりは私の考えが甘すぎた。どうせやるなら田植えも稲刈りも機械を使わず手でいこうなんて言い出したものだから大苦戦。とりわけ、先週の稲刈りは思った以上に時間がかかってしまった。

 石垣島の金ちゃんと友人のカヨちゃん、淡路島の農家で育った小池さん、堺のトマト農園の芝尾さん親子、自称“農家の孫”で心の友・ジローら経験者に支えられ、最後は海坊主さんのコンバインを借りて何とか無事に作業を終えた時の『チームヤマヒロ』の面々の疲れ切った表情ったら…。「来年はちょっとやり方を考えんといかんなぁ」とつぶやいてみたが、誰一人まともに返事が返ってこなかった。

 コメ作りはもう諦めた方がいいのか……そう考えていた矢先、驚きの資料を目にしたのだ。

 私の母の出身地、大阪府泉佐野市大木地区は、大阪にありながら中世の面影が今も残る『日根荘大木の農村景観』として知られ、2019年に日本遺産に認定されたことは知っていたが、さらに今年、国際かんがい排水委員会で『日根荘大木のかんがい用水群』として世界かんがい施設遺産に認定されることが決定したというのだ。どういうことか?

 かつてこの地は公家(五摂家)である九条家の領地(日根荘)だった。九条家が残した調査記録に照らし合わせると、1234年の日根荘成立以来、この地区の水路・ため池・井堰などの用水施設は今なお健在で、当時の姿を大きく崩すことなく田畑に継承・利用されていることが、今回評価を集めたのだという。

 大木の人々は、山間の村でなんと800年近くも傾斜を活かした水利システムを大事に守りコメを作り続けてきたのだ。我が3人の従兄弟たちもこの技術を受け継いでいたのか。もう尊敬でしかない。と同時に、私にも同じDNAが流れているのだ。そう、あきらめてはいけない。来年もコメ作りに挑戦するぞ!

 さあ、みんなもう一度この指止まれ……アレッ!?

 ◆山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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