【山田美保子のミホコは見ていた!】テレビに媚びなかった。倉本聰さん、逝く

 「40代以上の人にとっては『北の国から』(フジテレビ系)、60代以上の人にとっては『前略おふくろ様』(日本テレビ系)の脚本家で忘れがたい存在」とは28日、「Nスタ」(TBS系)での井上貴博アナのコメントだ。18日、多臓器不全のため死去した倉本聰さんの訃報に、関わりのあった多くの著名人がコメントしている。

 ギリギリ60代の私は、まさに「前略~」に青春を重ねた世代。小学校から憧れだったザ・テンプターズのショーケン(萩原健一さん)が「太陽にほえろ」(日本テレビ系)での殉職後、「傷だらけの天使」(同)を経て料亭の三番板前「サブ」として主演したのが「前略~」。「ミス・セブンティーン」グランプリの坂口良子さん演じる、かすみちゃんとサブの恋模様や、奔放で予測不能な「恐怖の海ちゃん」に、放送翌日、自分はどっちタイプなのかとクラスメイトと延々おしゃべりしたのも懐かしい。「北の国から」については、親戚のオバチャンのような感覚で純(吉岡秀隆)と蛍(中嶋朋子)の成長を見守り続けた。富良野まで訪ねて来た母(いしだあゆみさん)が乗った列車を蛍が一心不乱に追いかけるシーンは今思い出しても泣ける。

 構成を担当していた「旅の香り」(テレビ朝日系)のMCだった野際陽子さんが出演していらしたので「やすらぎの郷」シリーズ(テレビ朝日系)も昼間のお楽しみだった。各局、若い視聴者向けのドラマばかりであることを嘆かれた倉本さんが最初、恩義のあるフジテレビに持って行くも企画が通らず、結果、テレ朝で人気作となり社会現象となったのは有名な話。「昭和の時代にテレビで活躍した人物だけが入居する老人ホーム」なる設定を約10年前に思いつかれたのもお見事だ。「倉本さんは、テレビ局に、やっぱり媚びていないんです」とは29日、「羽鳥慎一モーニングショー」(テレビ朝日系)での玉川徹氏のコメントだ。

 これは、倉本さんと親交があり、「やすらぎ~」にも出演していた加賀まりこによる「テレビ局の要請に応えて…という仕事の仕方は全然していなかった」という言葉を受けてのものである。物書きの端くれとして私も思うのは、倉本さんは常にテレビ局と“正しい喧嘩”をされてきたということ。

 同時に視聴者のニーズを的確に捉え、晩年まで強い意志をもって書き続けてこられた倉本さんは、近年のドラマ枠や配信目当ての復讐劇の増加、忖度キャスティングなどをどう捉えていらしたのか。もっと作品を観てみたかったし、もっとお話を聴きたかったです。合掌。

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