ピュアな気持ちはいずこへ……欲と利権にまみれたビッグイベントにうんざり 山本浩之アナコラム

北中米W杯の開幕セレモニーに登場した巨大な優勝トロフィーのオブジェ(提供・共同通信社)
FIFAのインファンティノ会長(中央)=共同
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 【ヤマヒロのぴかッと金曜日】

 初めて阪神甲子園球場に連れて行ってもらったのは小学校3、4年の頃だったか。父と二人で見た対「大洋ホエールズ」戦。江夏、平松両投手の息詰まる投手戦だった。江夏投手の目に見えないほどの剛速球は圧巻だった。以来、半世紀経った今でも私にとってのミスタータイガースは江夏豊さんである。

 甲子園にはよく足を運んだ。息子たちを連れて行ったこともある。当時は行けば必ず観戦できたが、今では毎試合がプラチナチケットになってしまった。

 「ネットが繋がらない」「繋がったと思ったら売り切れ」と不満を口にする人が多いが、先日の報道で阪神タイガース公式ファンクラブが来季から「先着順」でなく「抽選制」での販売に変更することを知った。完全に「不公平感」がなくなる訳ではないが、これまで半ば諦めかけていたファンにも望みが出てきたのはいいことだと思う。

 手が届かないことでいえばサッカーW杯。決勝戦を残すのみとなったが、この一カ月世界中が沸きに沸いた。一方で話題になったのが、あまりに高額な入場券だ。

 最高額2405万円!?いくらなんでも非常識極まりないじゃないか!サザビーズのオークションじゃあるまいし、とてもスポーツ観戦のチケット代の額とは言えないだろう。

 人気のある試合や座席ほどチケットの価格が自動的に釣り上がる「ダイナミック・プライシング」というシムテムを導入したため、異常なほどに釣り上がるそうだ。ちなみに、売買手数料は公式転売を認めたFIFA(国際サッカー連盟)の懐に入る。

 アホらしい……まあ、元から行く予定もないので家でゆっくりと世界最高峰のプレーを堪能しようと思いきや、たまたまだったのだろうが、地上波や衛星chで見られない。350億円とあまりに高額になり過ぎた放映権料のため全試合が見られるのはDAZNによる配信系サービスのみ、とのこと。ひとつも地上波で見られなかったWBCよりはマシだが、こんなに関心の高いイベントが公共放送で自由に見られないなんて。

 2015年、FIFAに吹き荒れた汚職事件によって長年にわたる贈収賄やマネーロンダリングの実態が明らかになったが、実はその10年以上前に出版されたノンフィクション書籍『黒い輪』の中で、IOC(国際オリンピック委員会)の腐敗のみならず、FIFAの闇についても詳しく言及されていたことを私は覚えている。

 事件後もFIFAへの批判と不信は根強い。辞任したブラッター氏から引き継いだインファンティノ会長にも数々の疑惑が取り沙汰されており、今回もトランプ大統領の御用聞きのように映っていることが不信感をさらに増幅させている。ビッグマネーが動くイベントだけに常にフェアであることが求められているのだが…。

 スポーツは素晴らしい。ふだん、サッカーの試合を見ることのない私ですら圧巻のプレーに興奮しっぱなしだった。子どもたちには一流のプレーを出来ればナマで見させてあげたい。

 W杯やWBCを見て勇気と希望をもらった子どもたちが、その後の人生に花を咲かせることを祈りつつ。

 ◇山本 浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

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