カープ女子タレント、うえむらちかの小説「1946年の女子塁球部」が発売 原爆投下の広島でソフトボールに打ち込んだ祖母がモデル

小説「1946年の女子塁球部」を手にするうえむらと祖母・カズヱさん
小説「1946年の女子塁球部」の表紙
2枚

 「元祖カープ女子タレント」として知られる、うえむらちかの3冊目となる小説「1946年の女子塁球部」(KADOKAWA刊)がこのほど発売された。

 主人公のモデルは祖母のカズヱさん(96)。15歳の時に広島で被爆。その1年後、素手に素足のモンペ姿でソフトボールを始め、学校の仲間とともに夢中になり、やがて広島県初の女子ソフトボール大会で優勝するまでの軌跡を描いている。

 「祖母から話を聞いたのは約10年前。被爆体験を伝える活動は多くありますが、被爆した後の少女がどう生きたかはあまり語られていません。私の中ではもっと暗く苦しいものだと思っていたんですが、祖母の生き生きと楽しそうに語ってくれた話を聞いて、ぜひ多くの人にも知ってもらいたいという思いから小説を書き始めました」

 第1話が完成したのは10年前だが、その後はしばらく中断。2年前に母を白血病で亡くし、直後に祖母も転倒して足を骨折したことがきっかけとなり、「いつ何が起こるわからない」と執筆を再開した。「史実に基づいた小説にしたい」という思いから祖母の話を元に裏付け取材も進めた。祖母の同級生の多くは亡くなっていたため、その家族を訪ね、何度も図書館や学校などに足を運んで文献を調べたり、関係者から話を聞き、丁寧に事実を積み重ねていった。

 「私の人生の中で最も大変な1年でした」。生きがいでもあるカープ観戦もままならないほど多忙な日々だったが、原動力となったのは「後世に伝えていく責任感」だったという。「祖母の話を聞きながら、戦後を生きた少女たちのたくましさに何度も勇気をもらいました。この小説を通して、生きる意味や今の生活が決して当たり前ではないこと、若い人たちには困難に直面しても簡単にあきらめないでほしいということを伝えられればと思います」と語る。

 広島ではカープ女子タレントの第一人者として番組やイベント出演に引っ張りだこ。その傍らドラマ出演、歌手、声優を務め、小説もこれまで2冊執筆。雑誌や新聞に連載を持ち、漫画「うえむちかのカープごはん」の原作を書いたりとマルチに活躍する。「学生時代から小説を書いて応募していました」と話すだけあってプロ級の文才と構成力も納得がいく。「作家」うえむらちかの集大成ともいえる作品に仕上がっている。

 ◆出版記念サイン会が7月11日午後4時から広島市西区の広島蔦屋書店で開催される。参加費は2500円(書籍代1925円込み)。

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