老若男女に愛された「ひふみん」 加藤一二三九段が死去、86歳 将棋界のレジェンド「神武以来の天才」

 将棋の加藤一二三(かとう・ひふみ)九段が22日午前3時15分、肺炎のため東京都済生会中央病院で死去した。86歳。福岡県出身。通夜は27日午後7時半、告別式は28日午後1時半から、東京・カトリック麹町聖イグナチオ教会で。喪主は長男順一さん。史上最年少(当時)の14歳7カ月でプロ入りし、「神武以来(じんむこのかた)の天才」と称された。最年長の77歳5カ月まで現役を続行し、名人などタイトル8期を獲得。「ひふみん」の愛称で親しまれ、2017年の引退後は、テレビ番組にも多数出演した。

 将棋の才能のみならず、天性の明るさ、豪快さなど、全てにおいて型破りだった将棋界の大スターが、静かにこの世を去った。関係者によると、昨秋ごろから体調を崩しがちだったといい、所属事務所の関係者によると、最後の仕事は昨夏に行った日清食品「カレーメシ」のCM撮影だった。

 最年少と最年長の記録を打ち立て続けた棋士人生だった。1954年8月、14歳7カ月と史上初めて中学生で四段に昇段しプロ入り。2016年9月に藤井聡太四段(現六冠)が14歳2カ月で更新するまで、62年にわたって残る最年少記録を打ち立てた。

 順位戦では同年のC級2組から4期連続で1期抜けを達成し、史上最年少(18歳3カ月)でA級八段に。これは藤井六冠でも破れず、現在も残る最年少記録となっている。タイトル戦では先輩の大山康晴十五世名人、同年代の中原誠十六世名人、米長邦雄永世棋聖、後輩の谷川浩司十七世名人らとしのぎを削り、名人1期を含む歴代10位タイの8期を獲得した。

 将棋に対する熱量は他を圧倒し、生涯現役にこだわった。名人経験者として初めてB級2組に陥落後も指し続け、2017年のフリークラスへの陥落(年齢制限により強制引退)まで棋士生活を続行。16年12月には、藤井聡太四段(当時)のデビュー戦で対局した。現役最終盤の17年1月には最年長現役棋士記録、対局記録、勝利記録を、それぞれ77歳0カ月で更新した。

 盤上では徹底した居飛車党で、特に銀を攻めに繰り出す「棒銀」へのこだわりを貫いた。1990年代後半には「矢倉3七銀」戦法でも一時代を築き、17年の第44回将棋大賞では、生涯をかけて新手を追求する姿勢などが評価され、特別賞と升田幸三特別賞をW受賞した。

 引退後は多弁かつ独特なキャラクターでテレビなどメディアに引っ張りだことなり、「ひふみん」の愛称で親しまれた。常に笑みを浮かべ、早口でまくし立てるように話す姿はユーモラスに映り、老若男女の人気者に。とりわけ藤井六冠の対局時にはテレビのワイドショーに数多く出演し、独自の視点で藤井将棋を解説した。

 敬虔なカトリック教徒で、1970年に洗礼を受け、洗礼名「パウロ」を授かった。86年にはローマ教皇ヨハネ・パウロ2世から聖シルベストロ教皇騎士団勲章を授与されるなど、熱心に活動していた。

 ◆加藤一二三(かとう・ひふみ)1940年1月1日生まれ、福岡県嘉麻市出身。54年8月に四段に昇段し当時の史上最年少記録を更新。2017年6月、竜王戦6組昇級者決定戦で高野智史四段に敗れ現役引退。同月に宮城・仙台白百合女子大学の客員教授に就任。引退後はタレント、コメンテーターとして活躍。通算成績は対局数2505(歴代1位)、1324勝(同4位)1180敗(同1位)1持将棋、勝率.529。

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