内館牧子さん逝く 77歳 急性左心不全のため 朝ドラ「ひらり」などでお茶の間魅了 朝青龍との“対立”も話題に
NHK連続テレビ小説「ひらり」などを手がけた脚本家の内館牧子(うちだて・まきこ)さんが、17日に急性左心不全のため東京都の病院で死去していたことが26日、分かった。77歳。秋田市出身。葬儀は近親者で行った。喪主は弟の均さん。大の好角家としても知られ、女性で初めて大相撲の横綱審議委員会(横審)委員を担当。元横綱・朝青龍との“対立”でも話題となっていた。
明るくおおらかなキャラクターに、歯に衣着せぬ鋭い表現力、そして優れた洞察力でお茶の間を魅了する作品を作り続けた内館さんが、静かにこの世を去っていた。
内館さんは武蔵野美術大卒業後、三菱重工業に勤務。13年半、「OL」として勤務する中でシナリオスクールに出合い、執筆の面白みを知った。それまで映画を見る習慣はなかったが、年間数百本を鑑賞するほどのめり込んだという。
1988年に脚本家デビュー。遅咲きだったが、90年のTBS系ドラマ「想い出にかわるまで」は、トレンディードラマの代表作として人気を博した。OL時代に人間模様を目にした経験が生き、華やかな業界で働く人々の恋を扱うドラマブームの中で「(視聴者が)何に憧れるのか分かった」と振り返った。
92年度後期のNHK連続テレビ小説「ひらり」で人気を不動のものとした。その他、97年のNHK大河ドラマ「毛利元就」、2000年度前期連続テレビ小説「私の青空」など多くの作品を手がけた。近年は「終わった人」「すぐ死ぬんだから」など、老いを正面から扱った小説を数多く生み出し、映画化、ドラマ化されて話題を集めた。
大の好角家としても知られ、00~10年には横審委員を務めた。大阪府の太田房江知事(当時)が優勝力士への賞の授与を土俵上で希望し、日本相撲協会が拒否した問題で「伝統を守る当然の判断」と協会の姿勢を支持した。
また、03年に横綱に昇進した朝青龍とは、その素行を巡って激しく対立。折に触れて苦言を呈する機会が目立った。時を同じくして03年には東北大大学院に入り、大相撲の女人禁制について研究、東北大の相撲部の監督も務めていた。
◇芸能界悲しみの声
石田ひかり(NHK「ひらり」でヒロイン)「12月22日に『ひらり』の数人で集まりがあり、内館さんにまたお会いしたいねと話していた直後の訃報を、まだ受け入れることが出来ません。真っ赤なマニキュアをされて、おしゃれで元気な内館さんは、まるでベティちゃんのようなかわいらしさでした。『ひらり』は間違いなく私の財産です。早すぎるお別れに心が付いていけませんが、ひらりはこれからも頑張っていきますので、どうか見ていてくださいね。本当にありがとうございました」
舘ひろし(映画「終わった人」で主演)「内館さんとは小説『終わった人』の映画化などで、ご一緒させていただきました。強烈なタイトルでしたので、お受けするか迷った作品でした。内館さんも、『よくこんなタイトルの作品に出てくださいましたね』とおっしゃっていましたが、映画が完成して、『哀愁のあるコメディで良いですね』といっていただいたことが、記憶に残っております。心よりご冥福をお祈り申し上げます」
田畑智子(NHK「私の青空」でヒロイン)「またご一緒できることを目標にしていたので、突然の訃報に信じられない気持ちでいっぱいです。『私の青空』で、北山なずなという役に出会わせていただいたことは宝物です。撮影当時もなずなの明るさ、前向きさ、強さにたくさん元気をもらっていました。あれから25年が経ち、私も母親になり、改めて内館さんの描くなずなの持つパワーとメッセージを受け取っています。どうか、これからも澄んだ青空から見守っていてください」
日本相撲協会・八角理事長「約10年間にわたり横綱審議委員会の委員を務められ、その鋭くも温かい視点で大相撲を支えてくださいました。大相撲の伝統と文化を深く愛し、その継承に多大なご理解を寄せていただきました」
