尾上菊五郎、沈痛 片岡亀蔵さんラスト舞台で最後に交わしたセリフが…「まさか現実になるなんて」
歌舞伎俳優の八代目尾上菊五郎と六代目尾上菊之助親子が25日、京都・八坂神社で、襲名披露公演である「當る午歳 吉例顔見世興行 東西合同大歌舞伎」(12月1~25日・京都南座)の成功祈願と奉納舞を執り行った。
多くの観光客らが足を止める中、2人はゆったりと境内を練り歩き、成功祈願の後、舞殿では息の合った舞を見せた。菊五郎は「京都は初代尾上菊五郎の産まれた、音羽屋にとって特別な場所でございます。これからも親子で精進して参る覚悟を一歩一歩にこめさせていただきました」と、力を込めた。
前日24日には今回の公演にも出演する予定だった片岡亀蔵さんの訃報が届いた。亀蔵さんへの思いを聞かれた菊五郎は「胸が締め付けられる思いが致します」と、沈痛な表情。「亀蔵さんには若い頃からいろいろ教えていただいて、古典から新作とご一緒させていただいた」と振り返った。
亀蔵さん最後の舞台となった10月の御園座公演では、「鼠小紋春着雛形」の中で親子役で共演。「最後に『これがこの世のお顔の見納め』というセリフを2人で分け合って、亀蔵さんが引っ込んでいかれるんですけど、まさかそれが本当に現実になってしまうなんて、思ってもみませんでした」と、嘆きつつ、「亀蔵さんが残して下さった舞台に対するしんしな思いを受け継がせていただく。亀蔵さんも見守ってくださると思う、その気持ちを大事に前に進んで参りたい」と、故人に向けて誓った。
