【ヤマヒロのぴかッと金曜日】減反、値上がり、コメ不足…場当たり的農政にイライラが止まらない

 「減反」→「増産」→「(事実上の)減反」まさに『猫の目農政』だ。しかも、たった1年でコロコロと日本人の主食を振り回してきた。令和のコメ騒動は昨年夏、米屋の棚にコメが並んでないと騒がれはじめたことに端を発する。この時、コメは足りていると言い続けた農水省への信頼は地に落ちた。

 新たに就任した小泉農相(当時)が備蓄米放出に踏み切ったのが今年3月。コメの値段は一時期、一番高かった時の半値以下にまで値下がりした。さらに石破政権はこの夏増産にカジを切ったのだが、3カ月もたたないうちに今度は高市政権の下、農水省出身の鈴木新農相が「需要に応じた生産」にシレ~っと戻してしまった。事実上の「減反復帰」である。

 コメ農家の皆さんはどんな思いで、この極端な一連の動きを見ているのだろうか。中には歓迎する向きもあるだろう。あまり安い価格を維持されては生産者はやっていけないからだ。とはいえ、コメが足りなくなると価格はまたハネ上がる。

 鈴木農相は「需給バランスを維持し、生産調整を続ける。データと去年の反省も踏まえてデバイスする」なんてカッコいいことを言うが、そんなにうまくいくかどうか。今後も高温障害など、気象条件によって想定外の不作は十分考えられる上、予期せぬ災害などに見舞われれば備蓄米に頼ることはできないことも頭に入れておかねばならない。

 だから、減反政策は間違っている、生産を増やすべきだと思うのだが、どうやら余剰米を輸出するという石破前政権の考えは全く頭にないらしい。なんでもご自身が副大臣時代、カリフォルニアの業者と輸出交渉した際にとても難しかった経験がお有りのようだが、アンタ商売人じゃないんだから、まともに相手してもらえなかっただけじゃないの?と言いたくなる。

 今後、農産局の役人の判断ミスでコメ不足に陥ったら逆に輸入米を増やせばいい、とでも考えているのではなかろうか。私はそれくらい農業政策を信用していない。もう一度言うが、コメは日本人の主食である。

 鈴木農相はまた「経済原理によってコメの価格は決まる。政府は価格に介入しない」とも言った。正論ではあるが、今またコメの値段は5キロ4千円を超える価格に戻ってしまっている。去年のコメ不足を受けて、集荷・卸売業者が今年のコメを早い時期に生産者から高値で買い取ってしまっているからだそうだ。

 当然、消費者は悲鳴を上げる。そこで出てきたおコメ券。2千円一回だけじゃ全然足りませんよー。

 それでも売れなくてダブついたコメはどうなる?今度は値下げ競争になって、中間業者を苦しめる。廃業なんてさせずにちゃんと救済してあげないと。彼らの責任ではないのだから。ホラ、ぜーんぶ場当たり的だ。

 コメに限らず、私たちの土地で生産した安全で優良な作物を、安定的に口にすることを政治家や農水官僚は真面目に考えているのか。(だから私は数年前から畑を始めた。できるだけ自分が食べる野菜は自分で作れるようにしたいから、忙しい合間を縫ってでも土を耕している。コメを作る土地がないので野菜に限ってのことだが)地産地消は当たり前、読者の皆さんも、自産自消どうですか。(元関西テレビアナウンサー)

 ◇山本浩之(やまもと・ひろゆき)1962年3月16日生まれ。大阪府出身。龍谷大学法学部卒業後、関西テレビにアナウンサーとして入社。スポーツ、情報、報道番組など幅広く活躍するが、2013年に退社。その後はフリーとなり、24年4月からMBSラジオで「ヤマヒロのぴかッとモーニング」(月~金曜日・8~10時)などを担当する。趣味は家庭菜園、ギターなど。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス