認知症の橋幸夫さん、社長が明かす「忘れられない事」8割歌えず、笑ったお客と一悶着「休んで頭を整理する」も「休ませない」公表を決めた日
歌手の橋幸夫(本名・橋幸男)さんが4日午後11時48分、肺炎のため都内の病院で亡くなった。82歳。5月に中等度のアルツハイマー型認知症を患っていると公表していた。
9月1日には所属する「夢グループ」の石田重廣社長が、都内でトークショーを行い「もう去年の12月、今年の1、2、3月には様子はおかしくなっていた。歌は3割歌えませんでした。1、2月はちゃんと話もできませんでした、一人では。ステージではお客様の中にはなんかおかしいなということを感じる方もいたと思います」と病状を明かしていた。
病気を公表するきっかけになったコンサートを回想。大阪での昼公演で「8割歌えなくて。挙げ句の果てには、お客さんが笑い出してしまって、本人がそのお客さんにくってかかった。『何がおかしいんだ』と」と一悶着があったという。
夜公演の前に橋さんが石田社長のもとを訪れ「社長、話があるんだけど。社長、俺、迷惑かけるから、もう休むわ。休んで頭を整理する。整理してもう一回戻ってくるから」と告げたという。
「橋さんのそんな態度は初めてでした」と振り返る石田社長は「休ませないと言った。その時の橋さんは喜んだんです。あれでもし笑顔でなければ、僕はその晩は橋さんを休ませた。ダメだと言ったときのあの笑顔、子どものような無邪気な表情は忘れる事ができません。僕は意志を固めました。それなら堂々と、隠すことをやめよう。マスコミに現状を伝えようと。現状を伝えて、歌が5割しか歌えなくても、多くの人には分かってもらえるんだと確信した」と説明。
公表後、橋さんは自身の映るテレビをみて「なんだかすごいな」と語っていたという。石田社長は「ステージ上に上がるまでは、橋さんとはもう会話は成立しなくなっていました。唯一自分が話をすると返ってきた。自分がいると不思議と安心する。いないと気が動転している。あれだけの大スターがどうなっちゃったんだという状況に入りました」と伝えた。
