“千尋ロス”に「愛されてる証拠」中沢元紀 嵩と対峙場面に「僕はあのタイプではない」【インタビュー】
俳優・中沢元紀(25)がこのほど、デイリースポーツのインタビューに応じ、NHK連続テレビ小説「あんぱん」(総合、月~金曜、前8・00)への思いを明かした。柳井嵩の弟・千尋役を好演。24日放送の第62話では、海軍入隊後に南方戦線で戦死したことが明らかにされた。
千尋の戦死は静かに伝えられた。仏壇に置かれた遺影と骨つぼが映し出されると、ネットではすぐに「千尋ロス」の声があがった。そんな一大現象を本人はどう捉えるのか。
「『死なないで』とは直接言われたことはないですけど(笑)。千尋が愛されている証拠だと思うのでうれしいです。(これからも)嵩とのぶさんを応援してくれたらうれしいです」と感謝の思いは尽きない。
12日放送の第54回では、京都帝国大学を卒業しながら海軍に志願し、少尉となった千尋が兄・嵩と3年ぶりの再会を果たした。本番では兄を前に一切の涙を見せなかった様子もSNSで話題になったが、中沢は「リハーサルではボロボロと泣いた」と打ち明けた。
同じ場面で、のぶに好意を抱いていることを打ち明ける千尋。「何をグズグズしよったがな。のぶさんをほかの男に取られて!」と嵩の胸ぐらをつかみ、「生きて帰れたら誰にも遠慮せん!今後こそ、のぶさんをつかまえる」と訴える姿は、「あの、千尋が…」とファンを驚かせた。
役から一歩引いた中沢は、「僕は(兄の胸ぐらをつかむ)あのタイプではないですよ」と素の自分とはかけ離れていると苦笑。自身はグイグイいくタイプ?と聞かれ「どうですかねえ」と一呼吸置き「あんまりウジウジはしないですね。自分は伝える前に顔にでちゃうタイプです」とはにかんだ。
千尋にとっても自身にとってもハイライトとなるシーンの演技を一人の俳優が見つめていた。小栗旬だ。「全然、気づかなかったんですよ。セットから出てきて、モニター越しにオーラを感じるなと思ったら小栗さんでした」と中沢は思い返した。
俳優を目指すきっかけは、2017年に小栗が主演したフジ系ドラマ「CRISIS 公安機動捜査隊特捜班」を見て「自分も特殊警察もののアクションをやりたい」と思ったことから。そして、小栗と同じ芸能事務所に所属した。
以来の交流の中で、「小栗さんの哲学、美学は僕も大事にしたいと思うことがたくさんあります」と影響は多数。それだけに、「僕の役者を始めるきっかけの方に、自分のお芝居を見ていただけたというのはすごくうれしかった」と成長を見てもらえて、うれしかった。
モデルになったやなせたかし氏の思いをふまえ、太平洋戦争を深く、濃厚に描く同作。中沢の曽祖父も同戦争で戦地へ出向いたという。祖父から伝え聞いた話として、「(曽祖父は)戦争のことを多くは語りたくなく、胸の中にしまいこんでる雰囲気を感じたと。負傷して帰ってきてるみたいでして…」。体験者ならではの心境を熟慮した。
世界では現代でも紛争が続いている。「いいとか悪いとかと言うより、まずは戦争があったという事実を考えることが一番、大事なことかなと。そのきっかけになる作品が『あんぱん』であったら」。千尋の一挙一動が、戦争に思いをはせる契機になってほしいと思っている。
◆中沢元紀(なかざわ・もとき)2000年2月20日生まれ。茨城県出身。2022年1月にWEB CM配信ドラマ「メゾンハーゲンダッツ~8つのしあわせストーリー~」で俳優デビュー。同年4月にフジテレビ系「ナンバMG5」で連続ドラマ初出演。23年9月に「沈黙の艦隊」で映画初出演。同年10月にTBS系ドラマ「下剋上球児」で犬塚翔役でブレークした。24年7月にはテレ東系ドラマ「ひだまりが聴こえる」で主演。25年7月にはフジテレビ系「最後の鑑定人」に捜査一課・刑事役で出演する。身長183センチ。
