俳優のオダギリジョー（４９）が１７日、都内で、主演と共同プロデュースを務めた映画「夏の砂の上」（７月４日公開）の完成披露イベントを共演の高石あかり（２２）、松たか子（４８）、満島ひかり（３９）、森山直太朗（４９）、高橋文哉（２４）、光石研（６３）、玉田真也監督と行った。

　松田正隆氏が読売文学賞を受賞した戯曲を全編長崎ロケで映画化した作品で、オダギリは共同プロデュースを買って出た理由を「作家性みたいな作品ってなかなか今、作りにくくて、お金が集めにくくて。でも、すごくいい脚本だし、お金が集まらないから作れませんでしたじゃもったいないと思って、少しでも自分に助けられるものがあれば、作品を実現することと、作品が醸し出していた２０００年代初頭の日本映画を身をもって体験した自分だからできる作品作りがあるという二つの側面から、プロデュースとして入れさせていただきたいと思った」と説明。

　「このメンツを見ていただけると、並み簡単には集まる人たちじゃない。光石さんはなんでも出る人ですけど」と事務所の先輩をいじりつつ、「僕が名前を重ねることで信頼してもらえればいいな、説得材料になればいいなという願いもこめて」と話した。

　実際、ドラマ「大豆田とわ子と三人の元夫」以来の共演となった松は、「（オダギリが）手に取った台本ってどんなだろうって興味を持ちました」、オダギリとは初共演の満島も「オダギリさんと松さんが興味を持った作品はどんな作品だろうと思って」、高石も「オーディションの段階でオダギリさんと松さんのお名前は聞いていて、絶対に出たいと思っていて」と、オダギリが出演の決め手になったと口をそろえた。また、森山はオダギリが「この役に説得力を持たせられるのは森山さんしかいない」とオファーしたという。

　森山によれば、長崎ロケではスタッフ、キャストが同じホテルに泊まって合宿のようだったといい、「ロビーにテーブルがあって、いつもオダギリさんがいらっしゃって、スナックジョーって。玄関だから素通りできないんですよ。男だらけの集会でしたよね」と、毎晩のようにオダギリを囲んで飲んだという。

　森山は「そこをお風呂上がりの浴衣を着られた松さんが、ホントに映画のワンシーンのような感じでさっそうと通られるんですよ。ビチョビチョの松さんを皆が羨望（せんぼう）のまなざしで見るという、びちょびちょの松さんを」と振り返り、松が「幻を見てるんですよ！通り過ぎる日もありました」と照れる一幕もあった。

　仕上げにも関わったというオダギリは、最後に「編集にしても音作りにしても劇場を想定して全て作り上げるので、劇場以外では１００パーセント通じるはずがない。（映画館の観客席の）真ん中辺りに座ってる人が、作品のエッセンスを一番受け取ることができるはず。スマホで見たら伝わらないけど、劇場で見たら大丈夫です。劇場で見るのがベストの環境です。劇場でなるべく見てもらうのが、映画が文化として続く秘訣（ひけつ）というか」と、映画館に足を運んで鑑賞するよう訴えていた。