【弁護士が解説】中居氏側反論3つのポイント 「証拠の開示請求は、名誉毀損訴訟を見据えた準備行為と解釈できます」
フジテレビの第三者委員会の調査報告書で「性暴力」を認定された元タレント・中居正広氏(52)の代理人弁護士が、文書で「一般的に想起される暴力的または強制的な性的行為は確認されなかった」と反論し、中居氏の人権救済のため第三者委に証拠の開示を請求したことを明らかにした。論点はどこにあるのか。弁護士法人「ユア・エース」の正木絢生代表弁護士にポイントを聞いた。
中居氏側は、調査報告書の中に約6時間にわたるヒアリングでの発言内容がほとんど反映されていなかったこと、守秘義務解除に応じなかったと記述されていたが当初、解除を提案していたことなどを挙げ、反論した。
【1】どんな狙いが考えられるのか?名誉毀損(きそん)裁判に発展する可能性も指摘されている。
「中居氏側がこの時期に反論を行った背景には、第三者委員会の報告書が公表されたことによる社会的影響を受け、名誉や社会的地位の回復を図る意図があると考えられます。報告書において『性暴力』との認定がなされたことで、中居氏の名誉が著しく損なわれたと感じたため、法的措置を視野に入れた対応を進めている可能性があります。
実際、代理人弁護士は、第三者委員会に対し、証拠の開示請求を行っており、これは名誉毀損訴訟を見据えた準備行為と解釈できます」
中居氏は第三者委に26日までの返答を求めている。一方、この日、フジテレビは本紙の取材に、第三者委がすでに解散していることを明かした。
【2】解散済みの第三者委は返答する必要があるのか?
「中居氏側が第三者委員会に対し、証拠の開示や説明を求めることは、名誉毀損の主張を裏付けるために必要な手続きと考えられます。第三者委員会が既に解散している場合でも、その報告書が公表され、社会的影響を及ぼしている以上、説明責任が求められるのは妥当です。したがって、返答を求めること自体は正当な要求といえるでしょう。
再結成については、法的な義務はないものの、関係者の合意や社会的要請があれば、再度の調査や説明が行われる可能性も否定できません」
先を見据えての一手であることが推察される今回の反論。そもそも第三者委の調査報告書は、裁判に進んだ場合、証拠として認められるほどのものなのだろうか。
【3】調査報告書には、どれほどの拘束力があるのか?
「第三者委員会の調査報告書は、法的には拘束力を持たないものの、裁判においては証拠の一つとして提出されることがあります。ただし、その証拠能力は報告書の作成過程や内容の信頼性に依存します。報告書が中立的かつ公平に作成されていない場合、裁判所での証拠価値は低く評価される可能性があります。
中居氏側は、報告書において、自身のヒアリング内容がほとんど反映されておらず、また、守秘義務の解除提案が適切に取り扱われなかったと主張しています。これらの点が事実であれば、調査の中立性や公平性に疑問が生じる可能性があります。特に、当事者の意見が十分に反映されていない報告書は、その信頼性や正当性に影響を及ぼすことが考えられます」
