来年１０月に退団する宝塚歌劇団雪組トップスター・彩風咲奈（あやかぜ・さきな）が２７日、大阪市内のホテルで会見を行った。

　白のスーツで登場した彩風は退団時期について「トップに就任したときから、次に宝塚でやる大きな仕事は卒業することだなと思っていたので」とトップの宿命を説明。２２年夏に梅田芸術劇場で上演した『ＯＤＹＳＳＥＹ』を決意の時期にあげた。「１月にやる予定が（コロナで）やれなくなって、夏にできることになり、涙が出るほど感動したので」と明かした。「コロナやいろんなことがあり、どんな状況のときも、皆さまと雪組と宝塚を愛する気持ち、これだけは真実だと思っている」と言葉を紡いだ。

　自身を「格好いいトップではなかった」という彩風。「１回の芸事を、１００回練習しないとできない。でも組のみんなが１００回の練習を見てくれる雪組の温かさ」と感謝した。「私にとって宝塚は夢でありときめきでした。入る前に思い描いた夢、実際に入って自分の中での宝塚。人と人との出会い。仲間、お客さまがいなかったら、ここまでこられなかった」と語った。

　１１０周年の年に退団だが「まだまだ残せる者は残していきたい。また客席から宝塚を見たい」とほほ笑んだ。「私は（１６年という）長い年月、在籍しても、時代でいろんなことが変わって、去って行く人がいて、入って来る人もいる。私がどう望むというより、新しい（宝塚の）世界を楽しみにしている」と今後の歌劇団への思いを口にした。

　彩風の退団公演は２０２４年１０月の宝塚グランドロマン『ベルサイユのばら－フェルゼン編－』で、宝塚大劇場が２０２４年７月６日～８月１１日、東京宝塚劇場が８月３１日～１０月１３日。宝塚を代表する作品で、別れを告げる。