中原誠十六世名人 21歳藤井聡太八冠の偉業に感嘆 「とにかく終盤、歴史上ずばぬけて強い」

 将棋の第71期王座戦五番勝負第4局は11日、京都市・ウェスティン都ホテル京都で行われ、藤井聡太七冠(21=竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将・棋聖)が永瀬拓矢王座(31)に勝利し、史上初のタイトル全八冠独占を成し遂げた。藤井八冠のタイトル戦は「ABEMA」の中継で見ているという中原誠十六世名人は、「タイトル戦初挑戦から全て勝っているというのがすごい。早くからタイトル戦に出た人はいるけど、負けずに勝ち続けてる人はいませんからね」と舌を巻いた。

 中原氏自身も、全冠制覇に王手をかけた経験がある。1978年2月、当時の6大タイトルのうち5つを保持し、第3期棋王戦五番勝負で加藤一二三棋王に挑戦したが、0-3で敗れた。その際のことを「30歳の時でしたから、まだいくらでもチャンスがあると思ってました。結局、なかったんですけど、その時はそんなに悔しいとも思わなかったですね…」と振り返った。

 中原氏いわく、藤井将棋の強さは「とにかく終盤。終盤の強さが他の棋士、今までの歴史上の棋士よりもずばぬけて強い」。さらに「藤井さんの将棋は面白い。羽生さんの将棋も面白かったんですが、やはり『新鮮さ』ですね。斬新で、予想を超える手が出る」と独創性も高く評価した。

 “AI時代の申し子”とも称される藤井八冠。だが中原氏は「培った経験で、大局観というか、形勢判断の根拠が必ずあるはず」とした上で「藤井さんはAIの研究に頼りすぎることなく、レベルの高い対局の中で強さを磨いてきたんだと思います」と分析した。

 将棋界に誕生した新たな伝説。中原氏は「来るべくして来たという感じですが、さすがに予想より早かった」と驚きを隠さない。“独走”を許した他の棋士には「その辺はだらしない。もっと頑張ってくれないと」と苦言も。「現状、ライバルが見当たらない、前は豊島(将之九段)さんにかなり苦戦していたけど、今は完全に抜いてしまった」と、棋界全体の奮起を促した。

 頂点を極めたとはいえ、藤井八冠の棋士人生は始まったばかり。「どこまで進化するんだろう、次に何を目標にするんだろうという興味もあります」と中原氏。そんな藤井八冠もいまだに届かぬ高い“壁”が、歴代年間最高勝率・855。中原氏が20歳で五段だった1967年度に達成した金字塔だ。

 中原氏は「まさか破られないで残るとは思わなかった。当時は記録も重視されなかったから、そんなに称賛もされませんでした」と回顧。「全冠保持者で強豪としか戦わない藤井さんが塗り替えたら、とてつもないこと」としながら、「更新してほしい気持ち、残ってほしい気持ち、半々ですね」と正直な思いも吐露した。

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