PANTAさん死去、73歳 「頭脳警察」など過激なロック人生を振り返る

 反体制の象徴的ロックバンドとして知られる「頭脳警察」のメンバーで、ソロでも活躍したPANTA(ぱんた、本名中村治雄)さんが7日午前10時44分、肺がんによる呼吸不全と心不全のため死去した。73歳。

 PANTAさんは1950年生まれ、埼玉県所沢市出身。グループサウンズ、弘田三枝子のバックバンド「MOJO」などでの活動を経て、69年にTOSHIら4人で頭脳警察を結成した。バンド名は米国の前衛ロックバンド「マザーズ・オブ・インベンション」の曲名「フー・アー・ザ・ブレイン・ポリス?」に由来している。当時としては珍しい日本語詞と、オリジナリティーあふれる音楽性で同世代から高い支持を得た。

 70年の日劇ウエスタンカーニバルでは、ステージ上で自慰行為におよぶ伝説的な“事件”を起こす。71年には三里塚芝山連合空港反対同盟・青年行動隊が主催し、三里塚で開催された「三里塚で祭れ 幻野祭」に出演。その前後は新左翼系のイベントに次々と出演した。過激な歌詞ゆえ、72年にはデビューアルバム「頭脳警察1」が発禁となり、セカンドアルバム「頭脳警察セカンド」も発売1カ月で回収となった。

 75年大みそかの解散後、ソロを経て77年にユニット「PANTA&HAL」を結成。79年、斬新な音楽性と、東京をリアルに描出した歌詞が融合した名盤「マラッカ」を発表する。81年に解散し、ソロ活動を再開。87年に大作「クリスタルナハト」を発表した。

 90年、頭脳警察が1年の期間限定で復活。2001年にも復活して発禁アルバム「頭脳警察1」をリリースし、その後は継続的に活動している。09年には5時間14分に及ぶドキュメンタリー映画「ドキュメンタリー 頭脳警察」(瀬々敬久監督)が公開された。

 PANTAさんの活動は他にも多岐にわたっている。

 93年にはプロ野球・日本ハムのイメージソング「WILD DREAM」を作曲。同年12月にはPANTAが呼びかけ、Charや泉谷しげるが出演した骨髄バンク登録推進キャンペーンイベント「Human Love Aid」が府中の森芸術劇場で開催される。03年2月には開戦直前のイラクでの「イラク人間の鎖」に参加。07年8月には日本赤軍の重信房子との往復書簡から生まれたPANTA~響のアルバム「オリーブの樹の下で」をリリース。11年8月には福島市のあづま球場で開催された「8.15世界同時多発フェスティバルFUKUSHIMA!」に頭脳警察で出演した。

 また、自身の音楽活動と並行して、80年代末から荻野目洋子、チェッカーズ、沢田研二らへの曲提供を開始。荻野目、山田かまち、太陽の塔、横道坊主、竜之介などのプロデュースも手がけた。

 89年には桑田佳祐監督の映画「稲村ジェーン」で俳優デビュー。その後も映画「天使に見捨てられた夜」やマーティン・スコセッシ監督の米映画「沈黙」などに出演し、06年には「秘密の花園」で初舞台を踏むなど俳優としても活躍した。

 著書に自伝「歴史から飛び出せ」(87年)、自伝的青春グラフィティ小説「頭脳警察 Episode Zero-悪たれ小僧の前奏曲-」(10年)などがある。

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