将棋の第９４期棋聖戦五番勝負第１局が５日、ベトナム・ダナンの「ダナン三日月」で開幕し、藤井聡太棋聖（２０＝竜王・名人・王位・叡王・棋王・王将との七冠）が佐々木大地七段（２８）に１１３手で勝利した。日本と時差２時間のベトナム有数のビーチリゾートで、幸先良く先勝した。４連覇を目指す藤井棋聖は初の海外対局で、１日に最年少名人および七冠を達成してから初対局となった。

　振り駒で先手番となると、戦型は角換わり腰掛け銀へ。お互い研究範囲か、午前中からほぼ時間を使わず、駒がぶつかる激しい展開に。藤井棋聖がリードを築く中で、途中緩手で五分に戻すも、相手の攻め手を的確に受けて勝利した。

　藤井棋聖は「お互いの玉が不安定な形での戦いが続いて、距離感を図るのが難しい将棋だった。第２局以降は戦後が決まるので、しっかり準備して、いい状態で臨めれば」と振り返った。初めての海外対局で、勝負メシには、同国の代表的家庭料理「コムガー」を選ぶなど満喫。「こちらに来るまではどんな感じなのか、少し不安もあったけど、すばらしい対局場を用意していただいて、普段以上に集中して対局できたと感じています」と笑顔を見せた。

　初タイトル戦の佐々木七段は、「和服を着て新鮮な気持ちで戦えた。慎重になりすぎる部分も多かったので、大舞台の難しさを感じました。厳しいスタートにはなってしまいましたが、気持ちを切り替えて万全の準備で臨みたい」と語った。

　第２局は２３日、兵庫県「ホテルニューアワジ」で指される。