坂本龍一 ビジョン持ち政治家選ぶ!明治神宮外苑再開発に問題提起

 新潟市の森を視察する「モア・トゥリーズ」の代表を務める坂本龍一(中央)=10年
 明治神宮外苑のイチョウ並木(手前)。中央左は神宮球場。上は国立競技場=2022年12月
 本格着工した明治神宮外苑の再開発現場
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 がん闘病中の音楽家坂本龍一(71)が東京・明治神宮外苑の再開発に反対している。小池百合子・東京都知事らに「樹々を犠牲にすべきでない」との手紙を送付。統一地方選が始まる中、共同通信の書面インタビューに「一人一人が住みたい場所のビジョンを持ち、共有されて都市を形づくる。その先に政治家を選ぶということがある」とメッセージを寄せた。

 2007年に森林保全団体「モア・トゥリーズ」を設立し、代表を務める坂本。「一市民として黙っていてはいけない」と今月初旬、再開発を認可した東京都の小池知事らに手紙を送り「目の前の経済的利益のために先人が100年をかけて守り育ててきた貴重な神宮の樹々を犠牲にすべきではない」と、事業中断と見直しを求めた。

 書面は手紙送付の経緯を説明。都が2月に事業を認可する直前、再開発に異議を唱える人の声に後押しされ思い立った。その後、小池知事が記者会見で「事業者にも手紙を送られた方が良いのでは」と述べたとして「特に地権者である宗教法人明治神宮にはぜひとも計画をご再考いただきたい。が、それ以前に都市計画のビジョンのもとに各地の開発の是非が判断される必要がある」と指摘。

 「知事が東京の都市計画についてどのようなビジョンを持つのか、都民に広く知られるべきではないか」と問いかけた。

 がん闘病中の坂本は、治療で東京での滞在時間が増え「自然が広がる懐かしい神宮外苑を訪れては深呼吸し、スマホのカメラを向けることも多々あった」と述懐。一方、「音楽制作を続けるのも難しいほど気力・体力ともに減衰しています。残念ながら手紙を送る以上の発信や行動は難しい」と明かした。

 その上で「私のように多少名前が知られた者の声ではなく、市民一人一人がこの問題を知り、直視し、将来はどのような姿であってほしいのか、それぞれが声を上げるべきだと思います」とし、「今、この時に声を上げることが難しい場合でも、次の選挙で意向を投影することは可能です」と訴えた。

 再開発は神宮球場などを解体・新築し、高層ビル2棟を建てる計画。22日に本格着工したが、樹木の大量伐採やイチョウ並木への悪影響を懸念する声が上がっている。

 ◆明治神宮外苑の再開発 国立競技場などスポーツ施設が集まる東京・明治神宮外苑で、神宮球場と秩父宮ラグビー場を解体して場所を入れ替え、商業施設などが入る高層ビル2棟を建てる計画。対象区域は約28・4ヘクタールで事業者は宗教法人明治神宮、三井不動産など。全体の工事完了は2036年の予定だが、周辺住民らが今年2月に東京都に対し、施工認可の取り消しなどを求めて東京地裁に提訴した。

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