感染症専門家・岡田晴恵氏 コロナの実相を小説で伝える

 白鷗大学教授で感染症専門家の岡田晴恵氏がこのほど、デイリースポーツの取材に応じて、昨年12月に発売された著書「コロナの夜明け」(KADOKAWA刊)執筆についての思いを語った。

 同著は岡田氏が「コロナ禍の実相」を、老若男女の誰もが読める小説という形で刊行。21年12月に発売された「秘闘 私の『コロナ戦争』全記録」(新潮社刊)は新型コロナウイルス感染症との闘いを記したノンフィクションだったが、小説という形式を取ったことについて「誰でも彼でも読めるのは小説の良さ。実名がでないからこそ、本当が書ける。創作のようで、実は本当のことが表現できる。チャレンジできるのではないかと思った」と語る。

 感染症学の専門家として、新型コロナの流行初期からテレビをはじめとした数多くのメディアに登場。未知のウイルスへの警鐘を鳴らし続けてきた。一方で「番組が終わらないうちに発言が記事になっていて。番組の流れの一部を切り取られていたので初期は、えっ?と思った」。解説時に考えていたのは「いかに流行を抑止できるのか、それだけ」。台本を読み込み、本番直前まで最新の情報を探す。「言っていることが間違っていないかというのはすごく神経質だった」と振り返る。

 また「サイエンスとは別の部分でいろいろ言われたこともあった。化粧や服装などですね」とも語る。ただ「私は研究者なんで、テレビに出る前にはほとんど化粧や服装に関心がなかった。(出演時の)化粧なんてメークさんがやることですし」。自前の化粧ポーチを持っていないことを、メーク担当のスタッフに驚かれたこともあったという。

 それでも「私にとってポーチはペンケースだけ。今でも化粧ポーチは持ってません。服装も学生とそうかわらないようなもので出たりして、それが違和感だとたたかれた。仕事一本できていたので、そういう世間ずれはあったかもしれない」と苦笑いをする。

 岡田氏が「書いたというよりも筆記した」と感覚を語る同著では、多くの登場人物にモデルと呼べる人物が存在する。それだけに「読者もどれか1人には自分を投影できるのではないか。それがコロナを忘れないということなのではないかと思います。感染者が増えるのと反比例するように報道が減っている。忘れてしまっては教訓にならない」と著書に込めた思いを語った。

 ◆岡田晴恵(おかだ・はるえ)白鷗大学教育学部教授。専門分野は感染症学、公衆衛生学、児童文学。共立薬化大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士、国立感染症研究所などを経て現職。専門家として、テレビやラジオへの出演や執筆活動などで、新型コロナウイルスを始めとする感染症対策に関する情報を発信している。

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