俳優の佐藤蛾次郎さんが１０日に都内の自宅で亡くなっていたことが１２日、分かった。７８歳。佐藤さんは映画「男はつらいよ」シリーズの寺男・源吉役などで親しまれた。シリーズには欠かせないキャラクターとして、作品のコミカルな雰囲気を盛り上げた。

　「男はつらいよ」シリーズで主人公・車寅次郎（渥美清さん）の妹・さくらを演じた女優・倍賞千恵子は、松竹を通じてコメントを発表。「ガジさんとは、よくお電話で近況や昔話をしていましたね。」と最近も連絡を取り合っていたことを明かした。「今日は葛飾にでかけるので、久しぶりにお電話でもしてみようとしていたときに知らせを聞き、とても驚いています。残念でなりません。」と“虫の知らせ”があったこともつづった。

　佐藤さんと初めて一緒に仕事をしたのは、渥美さん主演の映画「白昼堂々」（１９６８年）だったとし「その時から面白い人だなと思っていました。」と印象を明かした。「まさか『寅さん』でこんなに長くお仕事ができるとは思ってもいませんでした。」と５０年以上の付き合いを懐古。「ガジさんが怪我をして映画にでられなかったとき、渥美さんとお見舞いに言ったら『えへへ』と笑って言い訳をしていた姿が懐かしいです。とっても優しく愛妻家だったガジさん、もう奥さまに会えましたか？」と思いをはせていた。

　また、さくらの息子・満男を演じた俳優・吉岡秀隆は「『男はつらいよ』の撮影の時に必ず差し入れしてくださる蛾次郎さんのつくったカレーの味と、「満男、うまいか？」と少年のような笑顔で聞いてくださったことが昨日のことのように思い出されます。」とコメント。「スタジオの片隅にいる僕をいつも気にかけてくださったこと、忘れません。ありがとうございました。」と感謝した。