三遊亭金翁さん死去 93歳、心不全 「お笑い三人組」でお茶の間の人気者

 愛用した腹話術人形を手に笑顔を見せる=2021年10月
 浅草芸能大賞授賞式で林家木久扇(右)と=2016年3月
 小金馬時代の三遊亭金翁さん=1953年1月
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 NHKのバラエティー番組「お笑い三人組」で人気者になった落語家で、長く四代目三遊亭金馬として活躍した三遊亭金翁(さんゆうてい・きんおう、本名松本龍典=まつもと・りゅうすけ)さんが27日午前1時33分、心不全のため東京都新宿区の自宅で死去した。93歳。東京都出身。葬儀・告別式は近親者のみで行う。喪主は長男松本理一郎(まつもと・りいちろう)氏。

 昭和の名人・三代目三遊亭金馬に入門したのは、真珠湾攻撃より5カ月前の1941年7月、金翁さん12歳の時。最後に寄席に出演したのは今年1月19日、東京・新宿の末廣亭で、金翁さんは93歳になるちょうど2カ月前だった。「死ぬまで落語をやっていたい」と語り、80年間にわたって人を笑わせ続けた。

 若い頃は歌謡ショーの司会も漫談も腹話術も手がけ、ラジオやテレビで活躍。NHKのバラエティー番組「お笑い三人組」には物まねの三代目江戸家猫八さん、講談師の一龍斎貞鳳さん(いずれも故人)らと出演、お茶の間の人気者になった。

 ある時、師匠の三代目金馬から「『三人組』は一生やるもんじゃないだろ。落語をしっかり稽古しろ。死ぬまでできるから」ときつく言われ、落語に向き合い直した。厳しく指導する一方で、45年3月の東京大空襲の際に心配して捜し回るなど、深い愛情を注いでくれた師匠への思慕の念を終生抱いていた。

 師匠の死後、四代目金馬を継ぐが「今の自分の芸では名前に申し訳ない」と悩んだ。五代目柳家小さんに「(金馬に)なって、それからうまくなればいいじゃないか」と励まされたという。「文七元結(ぶんしちもっとい)」「芝浜」などを得意とし、誠実な人柄そのままの高座で親しまれた。

 2018年に心不全と脳梗塞を発症。緊急入院し、一時は危篤となったが、懸命にリハビリに励み、高座に復帰した。20年、金馬の名跡を弟子でもある次男に譲り、自らは隠居名の金翁に。親子W襲名披露公演ではリハビリ経験をユーモラスに語り、笑わせた。

 今年1月には落語会で得意の「阿武松(おうのまつ)」を披露した。昨年10月の「芸歴80周年記念の会」での「生きている限りはしゃべるつもり」という言葉通りの落語家人生だった。

 ◆三遊亭金翁(さんゆうてい・きんおう)本名松本龍典(まつもと・りゅうすけ)1929年3月19日生まれ、東京都出身。41年、三代目三遊亭金馬に入門。前座名金時。45年、二ツ目昇進。小金馬に改名。58年、真打昇進。67年、四代目金馬襲名。落語協会理事、日本演芸家連合理事。04年、日本演芸家連合会会長。10年、落語協会顧問。17年、日本演芸家連合名誉会長。62、70年に芸術祭賞。00年、勲四等瑞宝章。主な持ちネタは芝浜、文七元結など。五代目金馬は次男。

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