１月に脳梗塞を発症し、リハビリ中の落語家・三遊亭円楽（７２）が１１日、東京・国立演芸場の８月中席公演で約７カ月ぶりの高座復帰を果たした。トップバッターで登場し、温かい拍手に思わず涙。「みっともなくてもいいから、死ぬまでやります」と決意表明すると、予定を１５分オーバーする約３０分間、満席の観客を沸かせ続ける大熱演を見せた。終演後の会見では、高次脳機能障害のため短期記憶障害が起こっていることを明かした。

　時折聞き取りづらい部分や口ごもる場面もあったが、力強く話しきった。円楽は「ここまで来ました。感極まって怪しくなるかもしれません」と涙をまじえつつも「後の人生、ゆっくりゆっくりやっていく。“ノー高速”だからね」と軽快に笑わせた。倒れた際の脱臼とまひで左腕は動かせないが、右腕をめいっぱい動かして入院中や５月の退院後の療養生活について話した。

　１８年に肺がん、１９年は脳腫瘍を経験。「ＩＣＵから３度目の帰還です。なんでこんなことになったんだ。みんな歌丸が悪い」と、故桂歌丸さんへの毒舌も健在だ。最後に１０分ほどの落語「猫の皿」を披露し、長年歌丸さんがトリを務め、１９年から円楽が引き継いだ本公演で復活した。

　終了後の取材には５０人以上の報道陣が集結。車いすで現れた円楽は、久々の高座を「『落語は急にうまくならないけどすぐにへたになるよ』と教えられたけど、なるほどと思ったね」と厳しく自己評価した。

　体調については「高次脳機能障害で短期記憶が…」と、脳梗塞が原因で記憶障害が起こっていると告白。それでも「でもありがたいのは昔覚えた落語は忘れてねえんだよ。すげえなと思って。これならまだまだみっともない形でやれるかなって」と前を向いた。

　今後は「何でもいいから落語に関わる仕事があれば手伝わせてほしい。誰かに車いすを押してもらって、あちらこちらに落語を聞きに行きたい」と意欲。落語界の盛り上げに必要なものを問われて「統一“協会”！。東京の落語を一つにして、総合マネジメントをやった方がいい」と時事ネタで爆笑をさらいつつ、提言していた。