河瀬直美監督、五輪映画に自負「私にしか撮れない作品」製作費も“1964年版”に近い?

 東京五輪公式映画の2作目「東京2020オリンピック SIDE:B」(24日全国公開)の記者会見が21日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で行われた。今作では大会組織委員会や国際オリンピック委員会(IOC)など大会運営側の人間模様も描いており、総監督を務めた映画監督の河瀬直美氏(53)は「この映画は見た人の映し鏡で、その時の自分の状況や思いの中で(それぞれが違う視点で)見られると思う」と語った。

 今回の映画は750日、5000時間という膨大な撮影期間を経て、2部作として完成。「-SIDE:A」は国内外のさまざまなアスリートの物語を中心に構成された作品で、「-SIDE:B」は大会関係者を中心に焦点を当てたものになっている。

 河瀬氏は「この映画に3年半の時間を費やした。コロナウイルスにほんろうされて五輪も1年延期になり、プランしていたものと全く違う物になった。だからこそAとB両方つくり、アスリートにフォーカスするだけではなく、(大会を)下支えした人たち、開催に反対していた人も描かないといけないと。100年後にも伝えられるように、私が見た時代の証、現実を映画監督として映画にしたつもり」と語った。

 また、河瀬氏を総監督に指名したIOCからは「市川崑(監督)のような映画をつくってほしい」と、同監督が製作した1964年東京五輪の公式映画(65年公開)のように監督の作家性の強い作品を求められたと強調。取材対象へのインタビューシーンで、アフレコで自身の声を入れるなどの演出を入れていることを明かした上で、「ドキュメンタリーはある作家の視点、作家性が入っているもの。(そういう意味では)私にしか撮れない『東京2020SIDE:A』、『-SIDE:B』で良かった。市川崑の時代に立ち戻って、全うできたと思っている」と自負した。

 「(近年は)誰が撮っても変わらない五輪公式映画になっていたが、『あなたにしか撮れない五輪映画を撮ってほしい』と言われて、それを踏まえて撮った。自分が3年半かけて、自分の映画監督としてのスキルを全て投入した」と胸を張り、「(制作費も)市川崑時代と同じお金しか使わせてもらってません。1年延期でも追加予算もほぼないです」と笑いながら告白。「8ミリフィルム(で撮ったシーン)が入っているが、私が初めてカメラに触れたときの感覚で、自らのまなざしでつくり上げたのが今回の映画です」と感慨を明かした。

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