大阪北新地ビル火災 放火疑いの男意識不明の重体 死者20人超
大阪市北区の繁華街・北新地にある8階建て雑居ビルで17日午前に発生し、27人が心肺停止で搬送された火災で、大阪府警は同日夜、うち24人の死亡を確認したと明らかにした。府警は目撃情報などから出火直前に4階にある火元のクリニックを訪れた男が火を付けたとみて、殺人と現住建造物等放火の疑いで天満署に捜査本部を設置した。事件の経緯を調べ、犠牲者の身元の確認を急ぐ。
捜査関係者によると、男は死亡しておらず、病院に搬送され意識不明の重体という。残る2人の容体は不明。
4階には「西梅田こころとからだのクリニック」が入る。府警によると、受付がある出入り口付近で「紙袋を持参した50~60代くらいの男が暖房器具付近で紙袋を置いて蹴り倒し、漏れ出た液体に引火した」との目撃情報があった。男は出火直前にエレベーターに乗ってクリニックを訪れたとみられる。
亡くなった24人は、20~60代くらいで、男性14人と女性10人。残る3人は、放火の疑いが持たれている男と20~30代くらいの女性2人。他に搬送された20代くらいの女性1人が軽傷。クリニックのエレベーターから出てすぐの出入り口付近が激しく燃えており、中にいた人が逃げ場を失い、巻き込まれた可能性がある。
院長の父親によると、院長と連絡が付かなくなっているといい「どういう状況か全く分からない」。現場に駆け付けた親族の男性(77)は「(院長と)最後に会ったのは1年ぐらい前。患者が多いと聞いていたから、慕われていたと思う」と困惑の表情を浮かべた。
大阪市消防局によると、19年3月に実施した直近の消防の定期検査では、ビル全体に防火上の不備は確認されていなかった。このビルは法令上スプリンクラーの設置義務はなく、実際に設置されていなかった。
