瀬戸内寂聴さん死去 99歳 文化勲章受章者 

 尼僧で作家の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日、心不全のため死去したことが11日、分かった。99歳。最近、体調がすぐれず、週刊誌の連載を秘書らが代筆していた。

 徳島県出身、東京女子大学在学中に結婚し、夫の任地の北京に同行。結婚生活の後に、文筆活動をはじめる。

 1957年「女子大生・曲愛玲」で新潮社同人雑誌賞受賞。一方で同年に発表した「花芯」がポルノと評されたり、「子宮作家」と批判されるなどし、活動が苦しくなった時期もあった。

 63年「夏の終り」で第2回女流文学賞を受賞。波瀾万丈な恋愛でも知られ、自身の経験をベースに女性の愛や性も小説に昇華させて作家としての地位を確立した。

 73年、中尊寺で得度、「寂聴」の法名を得る。79年京都・嵯峨野に寂庵を構えた。

 恋愛小説、伝記小説の書き手として多数の著書を発表し、ケータイ小説に挑戦するなど意欲的に表現活動を展開した。

 執筆活動と並行して、講演等で全国を飛び回り、毎月の法話には多く人が集まった。悲しみを抱えた人々を、ユーモアもまじえながら癒やした。

 後年は胆のうがんや心臓などのカテーテル手術を経験するなど闘病が続いた。10年ごろからは66歳年下の秘書、瀬尾まなほさんが生活を支え、2人の年の差を感じさせない関係性も話題となった。

 18年には寂庵で瀬尾さんと共著の会見を賑やかに行った。瀬尾さんについて「ユーモアがあって、一緒にいて楽しいんです。元気でいる秘訣は若い人と一緒にいること」と笑顔で語っていた。

 「週刊朝日」で連載中の芸術家・横尾忠則との往復書簡連載「老親友のナイショ文」では、9月24日号で「入院が最近とても好きになりました」と軽妙な文体でつづっていたが、10月15日号以降は瀬尾さんや編集担当が代筆を続けていた。風邪で体調を崩してから長らく寝込んでいることが伝えられていた。

 新潮社の担当編集者によると、先月まで原稿を執筆していたが、最近は入退院を繰り返すようになっていたという。

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