米モデルナ製ワクチンに異物混入 全国8カ所から報告 163万回分使用見合わせ

 厚生労働省は26日、米モデルナ製の新型コロナウイルスワクチンについて、5都県8カ所の接種会場で計39本の未使用状態の瓶から異物の混入が見つかったと発表した。厚労省は混入の危険性が否定できないとして、同時期にスペインにある工場の同じ製造ラインで作られた3ロット計約163万回分の使用を見合わせるよう要請した。各地では職場接種を中断する動きが出るなど影響が広がった。異物は「黒い小さな物質」といった情報が複数ある。

 政府がコロナ対策の命綱としているワクチンにトラブルが発生した。

 異物混入は茨城、埼玉、東京、岐阜、愛知の5都県8カ所の接種会場で、計39本の未使用状態の瓶で判明した。瓶4本から見つかった衆議院の事務局は「目視で確認したところ、1ミリ未満の黒い物が入っていた」と説明。茨城県の会場では薬剤師が注射前に黒や茶色の粒の混入に、埼玉県の会場では黒い沈殿物に気付いた。厚労省幹部は異物が金属片の可能性もあるとした。

 39本のワクチンは、スペインにある工場で作られた同じロットの製品。厚労省は、混入の危険性が否定できないとして、同時期に同じ製造ラインで作られた計3ロット、約163万回分の使用を見合わせるよう要請した。

 大阪府5万回、兵庫県4万1500回、愛知県2万8020回、広島県1万3330回など、すでに、全国で少なくとも18万回接種されている。健康被害の報告はない。厚労省は、納入先は国内863カ所の接種会場と説明したが、自治体名などについて「整理中」として明らかにしていない。

 菅義偉首相は、都内の視察先で「大きな影響を与えるものではないとの報告を受けている」と語った。厚労省は「安全性のリスクは大きくない」としているものの、個人が対象のワクチンを接種したかどうかを接種済証などで確認できるようロット番号も公表。健康状態が悪化した場合には医師などに相談するよう呼び掛けている。

 厚労省は使用見合わせとしたワクチンの配布先への連絡や、代替品の配分に向けた調整などに追われた。文化庁は、文化芸術関係者を対象にした職場接種を中止。全日本空輸は、羽田空港での接種を26日と27日は見合わせると明らかにした。

 厚労省は、不足分は国内の在庫で対応する考え。国内の販売や流通を担う武田薬品工業は代替品供給に関し「接種への影響を最小限にするよう努める」と表明した。

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