笑福亭仁鶴さん逝く 上方落語を全国に知らしめたパイオニア テレビ界でも人気者に

 落語家の笑福亭仁鶴(本名岡本武士=おかもと・たけし)さんが骨髄異形成症候群のため17日に大阪府内の自宅で亡くなっていたことが20日、分かった。84歳。大阪市生野区出身。17年6月以降、体調を崩し表舞台から遠ざかっていた。葬儀はすでに近親者、関係者で済ませた。「お別れの会」は現在のところ予定していない。

 甲高くリズミカルな声で「どんなんかなぁ~」「四角い仁鶴がまぁ~るく収めまっせ~」の名ぜりふを披露し、お茶の間を沸かせた仁鶴さんが、最愛の妻が待つ天国へと静かに旅立った。

 所属の吉本興業によると、仁鶴さんは17年に体調を崩して以降も入院することはなく、自宅で療養を続けていた。亡くなる前日まで元気で、2日前には一番弟子の笑福亭仁智(69)の訪問を受けて2時間ほど話をしていたという。17日に体調が急変し、大阪府内の自宅で亡くなった。

 親しい知人によると、17年以降は自宅に引きこもりがちだったが、1年ほど前からは自宅庭の新聞受けへ新聞を取りに行けるほどに回復。新型コロナワクチンも2度の接種を終えていたという。

 仁智は「亡くなる2日前に、2時間いろいろなお話をしたばかりなので、びっくりしました」と談話を発表。「上方落語の存在を全国に知らしめたパイオニアであり、功労者。弟子として少しでもその芸を継承し、功績を顕彰していきたい。まだまだ相談したいことがあったので悔しいです。今はゆっくり休んでいただきたいです」と悼んだ。

 大阪市生野区出身の仁鶴さんは1962年に六代目笑福亭松鶴に弟子入り。高座に上がりながらテレビ、ラジオ、ドラマ、映画、舞台などで才能を発揮した。

 67年には吉本新喜劇女優で「たかこ姫」の愛称で人気だった永隆子さんと結婚。おしどり夫婦として知られた。隆子さんは17年6月に72歳で死去。その前後から仁鶴さんは体調を崩し、表立った芸能活動をしなくなった。レギュラーを長年務め、「四角い仁鶴が-」でおなじみのNHK「バラエティー生活笑百科」、読売テレビのバラエティー「大阪ほんわかテレビ」などの出演を取りやめた。

 その後は18年9月6日に大阪市内で行われた六代目松鶴の三十三回忌法要に出席。取材に対し「頑張ってやりたい」と高座復帰へ意欲をみせていた。直近の仕事は同年10月11日、「京都国際映画祭2018・映画もアートもその他もぜんぶ@西本願寺南能舞台」でのあいさつだった。

 上方落語の発展に尽力しながら電波でも人気者。昭和、平成、令和を通じて現在のお笑い界のロールモデルを築いた功績は計り知れない。

 ◆笑福亭仁鶴(しょうふくてい・にかく)1937年1月28日生まれ。大阪市生野区出身。1962年に六代目笑福亭松鶴に入門。63年から吉本興業に所属。67年に吉本新喜劇の女優だった永隆子さんと結婚。「ABCヤングリクエスト」などの深夜ラジオで人気を博し、毎日放送「ヤングおー!おー!」への出演で全国区に。NHK大阪「バラエティー生活笑百科」などのレギュラー番組を長年受け持った。05年に吉本興業特別顧問に就任した。

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