中国地方唯一のストリップ劇場「広島第一劇場」が5月閉館 社長「踊り子さんに申し訳ない」

 5月20日の営業を最後に閉館する広島第一劇場
 ステージに上がった広島第一劇場の福尾禎隆社長
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  中国地方で唯一のストリップ劇場「広島第一劇場」(広島市中区)が5月20日の営業を最後に閉館することになり、経営する吉田観光の福尾禎隆社長(69)が6日、同劇場で会見を行い、「さみしい気持ちが一番。私の力足らずで、常連のお客さんや踊り子さんたちにも申し訳ない」と心境を語った。

 2017年1月に借地権の契約終了に伴い、一度閉館したが、全国から存続を願う署名が集まり、地権者との話し合いの結果、3カ月後に営業を再開。その後も借地権を何度も更新しながら営業を続けてきたが、このほど5月末で契約終了となることが決定。46年の歴史に幕を下ろす。6月には建物も取り壊され、跡地にはホテルが建設されるという。

 福尾社長は「家主さん(地権者)のご厚意で、奇跡的にここまで営業を続けることができたが、もう無理は言えない。(ストリップ劇場は)僕にとって人生そのもの。まだまだ続けたい気持ちはあったが、仕方がない」と無念さをにじませた。

 広島の風俗街として知られる薬研堀の一角に同劇場がオープンしたのは1975年8月。「ヌードの殿堂」というキャッチコピーが掲げられ、連日、多くの客が詰めかけた。福尾社長は85年に2代目として先代の社長から経営を引き継いだ。

 昭和から平成へ時代が変わっていく中、ストリップ業界は次第に廃れていく。客足が徐々に減り、全国各地で劇場の閉館が相次いだ。福尾社長は「私がこの業界に入った頃はまだ全国で200件以上の劇場があったけど、今はもう20件を切っているのでは」と話す。

 大みそかをのぞく年中無休で営業し、1日4公演を行っている広島第一劇場も時代の波には逆らえず、近年の来場者は1日平均40人ほど。昨年4月には新型コロナの感染拡大で2カ月間休館。さらに客足は遠のいた。「一番入ったのは今から20年ぐらい前、(人気ストリッパーの)桜樹ルイさんが来た時はいっぱいになった。正確な数は分からないけど1日700人ぐらい入ったんじゃないかな。建物の外まで入り切れない人があふれた」と懐かしんだ。

 ストリップ業界が衰退した要因については「昔は女性の裸体を見られるのはストリップぐらいしかなかった。今はそうじゃないから」と、娯楽の多様化を挙げた。また、女性の門限が昔と比べて厳しくなくなったことも指摘。「昔はグループで飲みに行って、女性が帰った後は男同士でストリップを見に行くというようなことがあったけど、今は女性も最後までいるので、そういうお客さんがいなくなった」と話した。

 閉館まで残り1カ月半。「ずっと支えてくれた常連の方はもちろんですが、まだ見たことがない人もこの機会に一度のぞいてもらって興味を持ってもらえれば、ストリップ業界全体にとってはいいこと。女性の人にも見に来てほしい」と話した。今も営業している劇場には「頑張っている踊り子さんのためにも、できる限り長く続けてほしい」と願った。

 19年には映画「彼女は夢で踊る」(監督・時川英之、主演・加藤雅也)の舞台にもなった広島第一劇場。「昭和」の灯がまた一つ消える。

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