藤井二冠に“豊島の呪い”…勝利目前の将棋も大逆転負けで「実力が足りない」

対局を振り返る藤井聡太二冠(左)と豊島将之竜王(日本将棋連盟提供)
感想戦を行う藤井聡太二冠(日本将棋連盟提供)
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 将棋の藤井聡太二冠(18=王位、棋聖)が5日、大阪市の関西将棋会館で指された第70期王将戦挑戦者決定リーグ2回戦で、豊島将之二冠(30=竜王、叡王)と対戦。公式戦で複数回対戦して唯一、勝利を挙げられていなかった豊島二冠を圧倒的に追い込みながら、終盤で緩手が続いて大逆転負けを喫した。藤井二冠は今リーグ連敗発進で、王将挑戦に黄色信号。豊島二冠は連勝発進となった。

 これが相性のなせる業なのか…。これまで幾多の強豪をあっという間に沈めてきた得意の終盤で、藤井二冠が乱れに乱れた。

 この日は今年度10戦全勝、昨年度から13連勝中だった後手番で、戦型は相掛かりに。中盤からは徐々にリードを広げ、優勢で迎えた大詰め。だが、よもやの緩手で手中に収めていた勝利を逃すと、大逆転への下り坂が始まった。

 先に持ち時間を使い果たして一分将棋となった豊島二冠の粘りを受け、最善手を選べない。藤井二冠も一分将棋となると、ここからは双方が時間に追われて大苦戦。ともに決め手を逃しながら、形勢逆転を繰り返した。

 だが、最後の最後で指運は豊島二冠にあった。藤井二冠も必死に抵抗したが、まぎれのない形に持ち込まれ、無念の投了。最後は何度も頭をガックリと下げ、ため息も止まらなかった。

 寄せを逃した一局を、藤井二冠は「結果的に見切り発車になってしまった。そのあたりをしっかり指さなければいけなかった」と反省。完全に勝ちを決めていた将棋まで落とし、これで対戦成績は6戦全敗と“豊島の呪い”を今回も払拭できなかったことには「やはり実力が足りないのかなと思います」と悔しさを必死に押し殺しながら話した。

 今年度内に三冠&九段を達成する最後のチャンスだった王将戦で、痛恨の連敗スタート。挑戦権獲得は難しくなったが、「結構厳しいスコアになってしまいましたけど、最後まで頑張りたいと思います」と、自身を鼓舞するかのように少しだけ声を張った。

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