検察庁法改正案、今国会見送り 安倍首相「国民の理解なしに前に進められない」

 政府、与党は18日、検察官の定年を延長する検察庁法改正案の今国会成立を断念した。安倍晋三首相(65)が自民党の二階俊博幹事長(81)と官邸で会談し、改正案に関し、国民の理解なしに前に進めることはできないと確認した。改正案を週内にも衆院通過させる方針だったが、世論の批判の高まりを受けて転換。採決に突き進めば政権運営への打撃は避けられず、新型コロナウイルス対策にも影響しかねないと判断した。法案の取り下げはせず、今秋に想定される臨時国会などで改めて審議する見通しだ。

 世論の強い批判を受け、安倍政権が法案採決方針を転換するという異例の事態となった。安倍首相は官邸で二階幹事長と会い「国民の理解なしに前に進められない」と伝達。自民、公明両党は幹事長会談で継続審議と決めた。今国会の注目法案が成立見送りに追い込まれたことで、首相の政権運営への打撃となった。

 「束ね法案」として一本化している国家公務員法改正案と共に、秋の臨時国会で議論する考えだ。首相は18日の党役員会で「国会で丁寧に対応してほしい」と協力を要請。記者団に「国民からさまざまな批判があった。国民の理解を得て進めることが肝要だ」と釈明した。自公幹事長は、内閣や法相が認めれば幹部ポスト留任を認める「役職定年制」の特例規定の要件が政府から示されないまま採決するのは困難だとの認識で一致した。

 特例規定を巡っては、ツイッター上で著名人らが「政権の検察への介入につながる」と相次ぎ非難。元検事総長らも反対表明し、世論の反発が広がっていた。政府は1月、従来の法解釈を変更して国家公務員法の適用により黒川弘務東京高検検事長(63)の定年延長を決めており、疑念は引き続き残る。

 自民党の森山裕国対委員長は、法改正見送りを立憲民主党の安住淳国対委員長に伝達。野党側は、15日提出した武田良太行政改革担当相の不信任決議案を取り下げた。

 立民の枝野幸男代表は党会合で「大きな一歩だが相手は諦めていない。国民の声を力に変え、恣意(しい)的に役職延長できる仕組みをやめさせるゴールへ頑張りたい」と述べ、追及姿勢を強調した。

 首相と二階氏は、今国会では新型コロナ対策を最優先とし、2020年度第2次補正予算の速やかな成立を図ることも確認した。

 野党は15日の衆院内閣委員会審議を踏まえ、公務員制度を所管する武田氏の答弁が不誠実だとして不信任案を衆院に提出。森雅子法相の答弁にも、特例要件を示していないと反発していた。

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