「お好み焼きでコロナに負けない体力を」 5月7日営業再開目指す「お好み村」理事長に聞く

 お好み焼き24店が営業する広島の名所「お好み村」が、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて4月22日から全館臨時休業に入っている。5月7日からの営業再開を目指すが、広島県内の感染者増加もあり、今後の見通しは不透明だ。苦渋の決断をした「お好み村組合」の豊田典正理事長(54)=八昌代表=に話を聞いた。

  ◇  ◇

 いつもなら国内外から多くの観光客が詰めかけ、活気に湧く「お好み村」も、今はひっそりと静まり返っている。広島県からの休業要請については飲食店は対象外となっているが、協力した場合は店舗支援金が支給される。全店で話し合った結果、営業自粛することを決めた。

 豊田理事長「苦渋の決断です。店を続けたい気持ちはあったが、感染拡大を防ぐためにはわれわれも協力していかなくてはいけないということで、みんなで相談して決めました」

 24店が入る「お好み村」に新型コロナの影響が出始めたのは2月。客足が徐々に減り、3月は、店ごとの売り上げが3~7割減った。国内外からの団体旅行中止や修学旅行の延期なども相次ぎ、3、4月分で169件あった団体予約は全てキャンセルとなり、5月以降の予約もほとんど期待できないという。

 豊田理事長「リーマンショックの時も東日本大震災の時も影響は受けたが、それとは比べものにならない。当初はここまでひどい状況になるとは想像もつかなかった」

 地元の需要を掘り起こすため、4月6日から、ほぼ全店で持ち帰り用の肉玉そば(うどん)を850円から550円に値下げした。手頃な値段で食べられるためお客さんからも好評だった。

 豊田理事長「こういう時だからこそ、日頃お世話になっている地元の皆さんに恩返しをしようということで値下げしました。自宅や職場でお好み焼きを安心して食べてもらえればと思った。お好み村ができて今年55周年なので値段も550円にした。もうけは度外視しています。恩返しをと思って始めたが、お客さんの方から『頑張って』と声をかけてくれたり、お土産や手作りマスクを持って来てくれたりして、逆に元気をもらいました」

 当初は営業時間の短縮などで対応し、営業自体は続けていく方針だったが、新型コロナの感染者が広島でも急増しており、臨時休業を決断した。5月7日から営業を再開することにしているが、先行きは不透明だ。

 豊田理事長「この先、どうなるのか見通しは立たないが、とにかく今は頑張ろうという気持ちしかない。一日も早くコロナが落ち着いて、皆さんにおいしいお好み焼きを安心して食べてもらいたい。持ち帰りの値下げも当初は今月24日までだったが、営業再開後も続けていきます。お好み焼きでしっかりと栄養を取って、コロナに負けない体力をつけてほしい」

 広島の「ソウルフード」とも呼ばれるお好み焼き。ジュージューと鉄板の上で焼ける音とソースの香ばしい匂いが充満する店内で、よく冷えた生ビールとともに熱々のお好み焼きを口に放り込む。そんな幸せな日々が一日も早く戻ることを願うばかりだ。

 【お好み村メモ】

 ◆住所 広島市中区新天地5-13

 ◆電話 電話082・241・2210(お好み村組合)

 ◆歴史 戦後間もない1950年頃、中央通りに発生した屋台群がルーツ。57年に屋台群は西天地広場と東天地広場に移動。65年に広場が公園化されることになり、立ち退きを機にお好み村が設立される。67年に現在の地に建てた2階建てのプレハブ店舗で営業を開始。92年に現在のビルが完成した。

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