志村さん兄 家に戻るも再び丁寧に取材対応 気さくで温かな“志村家”

最後まで報道陣の問いかけに対応する志村けんさんの兄・知之さん=都内の実家前
最後まで報道陣の問いかけに対応する志村けんさんの兄・知之さん(左)=都内の実家前(一部加工しています)
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 新型コロナウイルスと闘っていたタレント・志村けん=本名・志村康徳(やすのり)=さんが29日、入院先の病院で亡くなった。70歳。志村さんの兄・知之さん(73)は30日、東村山市の実家前で取材に応じ、「本当はね、もっと生きて欲しかった」と涙で語った。何度も丁寧に質問に答える姿は、志村さんの姿とも重なった。

 地元の町内会の人とも交流があり、タレントとも分け隔てなく接し、気さくで温かく優しい人柄で知られた志村さん。そっくりな顔立ちの兄・知之さんもまた、同じだった。

 葬儀などの打ち合わせを終え、午後2時ごろに実家に戻った知之さんは、まず家の前で待機していた報道陣に妻・サヨ子さん(69)と10分ほど対応。「まさかとは思いましたよ。60年(※50年)近く(芸能界で)頑張ってきて…。本当はね、もっと生きてほしかったけどね」などと涙ながらに語り、最後に志村さんと会ったのが、息子ら親族で開いた古希(志村さんは2月20日が誕生日)を祝う会だったことなどを伝え、家に入った。

 同2時半頃、再び姿を見せると、再度、応対。志村さんが息を引き取った10分後の29日午後11時20分ごろ、「寝ようかなと思っていたら電話がかかってきてびっくりした」などと語った。時折ハンカチで涙をぬぐったが、「なんで先に逝っちゃうんだよ」と笑うなど、志村ファミリーらしさもにじませた。

 次々に訪れる記者にも丁寧に応対。繰り返し同じような質問が出ても時に朗らかに、2時間近くにわたり、思いを語った。表札の前で話をしていたが、最後は玄関前まで“ぶら下がり”取材に応じていた。

 古希の会の時で撮影した“素顔の志村さん”の写真も提供。知之さんの長男・憲之さんがプレゼントした紫のちゃんちゃんこと大黒帽をかぶり、はじけるような笑顔を見せる1枚と、憲之さんの横で、記念に送られたお酒とグラスを手に笑顔の1枚。「本人も喜んでました」という楽しい宴の様子が伝わってくるものだった。

 志村さんは23日に新型コロナウイルス陽性と判明。24日から都内の病院に転院し、人工心肺装置をつけて治療を続けていたが、感染を防ぐためもあり、知之さんら親族は志村さんに会うことはかなわなかったという。

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