若尾文子「恥ずかしいです」よみがえる日本映画黄金期の艶美 映画祭&写真集発売
大映で数々の名作に出演した日本映画の黄金期を代表する大女優・若尾文子(86)の代表作を一挙上映する「若尾文子映画祭」が、5年ぶりに東京・角川シネマ有楽町で開催される。28日の初日と写真集「写真集 若尾文子」(ワイズ出版)発売を前に若尾がデイリースポーツにコメントを寄せて、現在の心境を明かした。
若尾は2014年にキネマ旬報のファン投票でオールタイムの日本映画女優2位に選ばれ、映画祭も度々開催され、主要作品の大半がソフト化されるなど、リアルタイムで全盛期を知らない世代にも人気を博している。
そのような現状を「大変嬉しく思いますが、正直私にはよく分かりません」と、戸惑い気味ながらも喜んでいるようだ。
大映では増村保造監督のミューズとして「妻は告白する」、「清作の妻」、今回初めて4K化された「刺青」など数々の傑作に主演し、溝口健二、小津安二郎、川島雄三ら巨匠の名作にも数多く出演。主演女優賞5冠を2度も達成するなど、美貌と演技力を兼ね備えたスター女優として活躍した。映画祭では41作品が上映される。
若尾は「大映の監督をはじめスタッフはとても優秀な方たちが多かった。作品自体の魅力だと思っています」と謙虚に述べた。
写真集には「恥ずかしいです。私の写真集なんて見てくださる方いらっしゃるのかしら…」と照れたが、出演した大映作品の全スチール、スナップを収録した決定版とあって、映画祭ともども大きな反響を呼びそうだ。なお、映画祭への公式コメントでは「自分ではない誰かになりたいと思い、十代で飛び込んだ」と、映画女優になった理由を説明。
当時を「朝から晩までずっと撮影所に暮らしているような生活で、ただただ無我夢中の日々でした」と回想し、「溝口先生や小津先生、そして何より増村さんとご一緒させて頂いたことはどんなに運がよかったかと改めて感じます。仲間たちと懸命に作り上げた作品は今でも私の大切な宝物です」と、作品への思いを明かしている。