山本恭司「15の時からよく知ってる」友・佐野史郎と、小泉八雲の「鳥肌」朗読舞台

 ハードロックバンド「BOWWOW」、「VOW WOW」のギタリストとして世界的に知られる山本恭司(63)が、俳優・佐野史郎(64)と今月、ライブイベント「小泉八雲朗読のしらべ『怪談~恐怖の底より聴こえる救いの呼び声~』」を東京・ヤマハ銀座スタジオ(7日)と神戸チキンジョージ(9日)で開催する。半世紀近くに及ぶ佐野との交友と、佐野とのライフワークである本イベントへの思いを、山本が語る。

  ◇  ◇

 出会いは島根県の松江南高校に入学した時だった。同級生になったのは3年生の時だけだが、1年生の時から限られたロック仲間で「十数人で集まってレコードを貸し借りしたり、ギターを弾き合ったり、セッションしたり」と友情を育んだ。

 佐野は音楽に精通していることでも知られ、山本らとの「森野山川BAND」で昨年のフジロックフェスティバルに出演するなどミュージシャンとしても活動している。「佐野はすごく幅が広い。日本のフォークからアメリカのロック、イギリスのロック。本当に色んな音楽を教えてもらいました。レッド・ツェッペリンを教えてもらったのも佐野から」と、当時から博識ぶりは際立っていた。

 同校は「99パーセントぐらい進学するような高校」だったが、卒業すると山本はミュージシャン、佐野は俳優を目指して上京。山本が佐野の舞台を観劇したり、佐野が山本のデビューコンサートを見に行ったりとプライベートな付き合いは続いていたが、初めて仕事を共にしたのが2007年に立ち上げたこの「小泉八雲朗読のしらべ」だった。

 「怪談」で知られる明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)は松江に住んだ時期があり、松江の女性と結婚して添い遂げた。地元では「ヘルンさん」と親しまれている。松江市から朗読を依頼された佐野が「(高校)当時から色んな音を出すのが得意」な山本に声をかけ、山本が音楽と演奏、佐野が脚本と朗読を担当する「小泉八雲朗読のしらべ」が誕生した。

 イベント名はノーマルだが、山本は「僕らの『朗読のしらべ』は想像をはるかに超えるもの」ときっぱり。「より音楽的で、プログレのようにドラマチックで鳥肌が立ったり、感情が縦横斜め、色んな方向に揺さぶられるような、すごい音楽朗読劇といったもの」だと説明する。

 佐野の朗読は「登場人物が多い話でも、声色も何種類も使い分けて役になりきっている。お客さんに今、誰がしゃべっているか分かるように伝えられる。大きな動きはしないけど、言葉だけじゃない演技を見せてくれる。隣で聴いていても、そこに込められた気迫や感情で鳥肌が立つようなパフォーマンスを常にしています」という熟練の技。山本の演奏は「ギターで合いの手を入れたり、即興によるところもかなり大きい。フレージングは毎日違う」ため、「まさしくライブ」なのだ。

 2人のコンビネーションも「15の時からお互いのことをよく知ってるから、何を意図しているかすごくよく分かる。お互いに音楽をすごく理解しているのでとてもやりやすい」と盤石だという。

 構成は毎年異なり、怪談だけではなく、松江の昔話や泣ける話、哲学的な話などをはさみ、「最後はドラマチックに、鳥肌ものの世界に持って行く。ちゃんと起伏があって感動してもらえる、音楽のライブや映画のような構成」になっている。

 山本の言葉を裏付けるように、当初は東京と島根で年1回ずつの開催だったのが、評判を呼んでギリシャやアイルランド、昨秋は米ニューヨーク、シンシナティ、ニューオリンズといった八雲ゆかりの地で公演を行うまでに広がっている。海外では日本語上演に字幕スーパーが付くが、佐野の朗読と山本の演奏で「その話が訴えかけていることが伝わり、ギリシャでは涙する人もいた」ほどだ。

 銀座公演は既に完売。神戸公演はロックの名門ライブハウスとあって「音響的にも照明的にも普段とはガラッと違う、よりロック的なすごい世界ができそう。ピンク・フロイド的というか、ドラマチックな、これまで見たことのある方もビックリするようなスケールの『朗読のしらべ』になると思う」と期待し、「絶対に損させない、すごいものを見せます」と自信を見せる。

 「朗読のしらべ」は今年で14年目を迎える。佐野とは「ある意味、ライフワークとして伝えていこう」と話しているという。

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