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ヒットメーカー林哲司が45周年ライブ(後)玉手箱を開ける気にならず、夢を見続けて

 1980年代を代表するヒットメーカーで、シンガー・ソングライター(SSW)の林哲司(70)が11月7、8日に東京・よみうり大手町ホールで作曲家45周年記念ライブ「SONG FILE SPECIAL」を開催する。“Jポップを作った男”が、古希を迎えてなおも新たなエンターテインメントを目指す心境を明かすインタビュー、その後編。

  ◇  ◇

 SSWとしても活動してきた林だが、自作をベースにしたライブ「SONG FILE」では、男声の大和邦久、女声の一穂、富岡美保にボーカルをほぼ任せる。「明らかに素晴らしいボーカリストがいれば委ねるのが作曲家」だといい、米ポップスの偉大な作曲家であるバート・バカラックやデヴィッド・フォスターのライブが指針になったと明かす。

 「自分にとって一番大きな意味なんですけど、アーティストが主体なのか、作品の方が主体なのか、それがこのライブの大きな分かれ道だと思っている。当然、オリジナルアーティストが歌うに越したことはないし、お客さん的にはそれが一番正しいけれども、作曲家の立場からすると、ボーカルが表現するものが豊かで自分の作品をきちっとお客さんの耳に届けてくれれば、それは十分にかなえられると思っています。バカラックのライブもフォスターのライブも、もちろんディオンヌ・ワーウィックやチャカ・カーンが歌えばこんなにおいしいライブはないけど、自分も含めたファンが作品を聞くことで十分納得して喜んでいる光景を見た時、自分も同じようなスタイルを踏襲したいと思い立った」

 SONG FILEへの反響は大きく、「これをやるようになって、ファンからのアクセスが増えて、露出も増えた。自分から求めたものじゃない。そういう状況になってきてるし、すごくいいスパイラルになってきている」と手応え十分。「(このスタイルが)パフォーマンスとしてショーになることをまざまざと見せてくれた指針がバカラック。そういう人がトシを重ねてステージをやっている。日本にもそういうスタイルを作ってみたい。そこに自分の空席があるのかなと。エンターテインメントとしてスタイルが確立できればいいな」と、新たなショーの創成を目指している。

 今回の作曲家45周年記念ライブは「SONG FILE」の拡大版で、初日は稲垣潤一、2日目は杉山清貴、オメガトライブの高島信二と吉田健二と、林と縁の深いアーティストも出演する。

 代表的な楽曲と共に、先の言葉にもあったように「アルバムの中で光っている曲とか、もう一回掘り起こしてやりたい作品」を選曲。稲垣や杉山への提供作品でも、ヒット曲と共に「この光景じゃないと聴けない」楽曲、「この曲やってくれた!」という意外な楽曲も披露するという。

 また、「ハチ公物語」、「遠き落日」などの大ヒット作を手がけた映画音楽家でもあるだけに、今回は自作の映画音楽もメドレーで披露する。「作曲家の一面として、正統的音楽をやるシーンもちらっと見せようかと」と、なかなかステージでは見られない別の顔も表現するつもりだ。

 一昨年末の入院はあったものの幸い完全復活。8月で70歳になったが、「トシのことはあまり意識になくて」と言うように若々しさは変わらず、元気なステージを見せている。「どうしても体力、精神力との戦いという局面は出てきたりもする。長時間根を詰めることが昔ほど安易にできない」と、老いそのものは否定しないが、「どういうふうに折り合いを付けてうまくこなしていくか、経験してきた知恵で補う」と頼もしい。

 日本を代表するポップ・マエストロは「曲を作ることは今の方がはるかに、いろいろな技術とか感情、経験値とかを、うまく表現することに投下できる。一番面白い時期だと思っています。作品を完結することに関しては今一番脂がのりきっているというと若く感じるけど、一番自分で面白い。玉手箱を開ける気にならず、ずっと夢を見続けて来てるのが若さなのかなという気がする」と、古希を迎えてますます意気盛んだった。(終わり)

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