宮崎駿監督の一番大事な作品は「風の谷のナウシカ」…ハリウッドオファー断っていた

 スタジオジブリの代表取締役で映画プロデューサーの鈴木敏夫氏(71)が30日、都内で行われた、新橋演舞場12月公演「新作歌舞伎 風の谷のナウシカ」(12月6~25日)の製作発表会見に、主演の歌舞伎俳優・尾上菊之助(42)、中村七之助(36)らと出席した。

 「風の谷のナウシカ」は、映画監督で漫画家の宮崎駿氏(78)が執筆した作品で、1984年に映画化された。今作では書籍版の全7巻を、昼夜通しで舞台化する。宮崎氏の作品およびジブリ作品が歌舞伎化されるのは初。鈴木氏は「今回は原作を提供する立場。期待する立場なので、映画より楽なんです」と冗談めかしつつ、「菊之助さんが、ナウシカを歌舞伎にしようと考えた張本人」と明かした。

 また鈴木氏は、宮崎氏の中で同作が持つ意味を解説。「宮崎にとっても、『ナウシカ』は実は一番大事な作品だったんです。本当に精魂込めて、自分の持っているものをすべてぶつけた作品。そばにいていつも分かっていた。彼の中心にあるのは、いつも『ナウシカ』だった」と明かした。

 「ナウシカ」は世界中で人気を博し、舞台化のオファーも絶えない。だが、宮崎氏はこれまで、一度も首を縦に振らなかったという。「彼の中では、『ナウシカ』の一部を切り取って作品にしたのが多かった。宮崎に(歌舞伎化を)話したのは5年ほど前ですが、彼は嫌がると思っていた。各方面からいろいろ頼まれて、ハリウッドからも実写映画にしたいというオファーもあったんですが、全部断っていたので」と話した。

 そんな宮崎氏が、初めて舞台化を許可したのが今作。宮崎氏はその際、2つの条件を出したという。「1つ目、『ナウシカ』というタイトルを変えないでほしい、2つ目は『記者会見その他、いろんなことあるだろうけど、俺は協力しないから、鈴木さんがやってくれるならOK』ということだった」と笑いながら明かした。

 主演の菊之助は「5年前から準備が始まりまして、この記者発表の日を迎えられましたこと、今日が門出となりましたこと、すごい武者震いをしております」と真剣な表情。「ナウシカ」の魅力について、作品の普遍的なテーマ性を挙げ、「原作が描かれたのが、1980年代、日本がこれからバブル経済に突入していく、少し浮き足立っていたときに、それとは逆にユートピアでなくディストピアを描かれた。2000年代になって当時を振り返ったときに、そのテーマ性に現代というものが追いついてきた。テーマの普遍性が一本貫かれているなと思いました」と話した。

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