キノコホテル 令和の大改修を施した新作「マリアンヌの奥義」(後)

 4人組ガールズバンド「キノコホテル」が6月26日に7thアルバム「マリアンヌの奥義」を発表した。2010年にメジャーデビューし、支配人・マリアンヌ東雲の美意識が隅々まで行き届いた世界を築き上げてきたキノコホテルだが、本作で初めて外部プロデューサーを招へい、新境地を開いている。マリアンヌが“令和の大改修”を語るインタビュー、その後編。

  ◇  ◇

 「奥義」はキノコホテルの美学を見失うことなく、かつポップでダンサブルなアルバムになった。

 「個人的に冒険した楽曲、今までのキノコホテルの世界と少し違うような、より開けた世界観の楽曲もあるんですけど、島崎さん(島崎貴光プロデューサー。SMAP、AKB48らを手がけた)に提出するにあたってためらいがあって。そういったためらいとか、何がキノコらしくてこれはダメとか、そういった垣根をなくしていこうっていう。要は私が曲を書いて、あの4人で演奏すれば、間違いなく、私の歌が乗ればキノコホテルだから、そこのこだわりを捨ててみてはどうだという趣旨のお話を何度もされて、それで背中を押された」という。

 「一人で(プロデュースを)やっていた頃は枠にとらわれがちだった。これは私の歌う歌じゃないとか、自分で作っておきながらハネちゃったりとかしてたんですけど、島崎さんはせっかくこんないい曲ができたんだから、きちっと形にしていこうって。ホントに私が求めていたことなんですよね。曲を、デモをきちんと聴いて、分析していろいろ言ってくれる方って。そういう意味ではすごく私のやる気を底上げしてくれたというか。そういうところにおいても島崎さんを必要としていたと思うんですね」

 キノコホテルらしくない楽曲とは、例えばM7「華麗なる追撃」だという。

 「曲調だったり、歌詞だったり、非常にポジティブなメッセージが込められてる楽曲なので、今まで恥ずかしいし避けて通ってたんですけど、島崎さんに聴かせたらこれ最高でしょうって話になって、褒められるとじゃあいいのかなって」

 このように新しい自分、新しいキノコホテルを受け入れられるようになっていった結果、「奥義」は「毎回、新しいアルバムを作る度に、少しずつキノコホテルの音楽性のレンジは確実に広げてきたつもりなんですけど、今回はそれの最大値というか、今までの」という自信作になった。

 ところで、アルバムタイトルの「奥義」とは何なのだろう。

 「(アルバムタイトルは)『マリアンヌのなんちゃら』っていうのが多いんですけど、いいワードが比較的出てしまったというか。で、メモ帳か何かに、あと何があるかっていって、40個くらい書いたんですよ。その中で3つ4つくらいなんとな~くしっくりくるのがあって、『奥義』も含まれてて。マネジャーにこんな案も出たんですけどって見せたら、向こうも向こうでいくつか考えてくれていて、その中にも奥義があったんですよ。じゃあ奥義ですねっていう。特に、結果的には(内容と)リンクしたんじゃないかと思うんですよ。けっこうつじつま合わせるのがうまいんですよ、私。ジャケもそうですし」

 ジャケットは、上半身裸のマリアンヌが金の装飾品を付けた過激なデザインだ。

 「最初から脱ぐコンセプトだったわけではないんですけど。結果的には、衣装を期間的に用意できなかったとかいろいろアクシデントもあったりしたので、衣装がないんだったら裸に何か張りましょうって、アートディレクターの常磐響さんが縄とか手芸屋さんで買ってきて作ってくれたものなんですけど。それが結局リード曲の『ヌード』(M2)につながっていくし、リード曲も初めは『ヌード』じゃなかったんですけど、結果的にコンセプチュアルに仕上がったっていう。意図したものではないんですけど、なんてきれいにまとまったんだろうって自分でも驚いているくらいで。そういう運命的な力が作用するのかもしれないですね」

 キノコホテル史上に残る大改修となった「奥義」。本作を経て、キノコホテルはどこに向かうのか。

 「今回また一つの完成形を提示したので、同じようなものを踏襲するのではなくて、思いっきり違う方向に振れてみたいなっていう欲求はあるので、だいぶ違ったものになるというか、してみたい。まだ『奥義』が自分の中で全然抜けきっていないのでアレですけど、秋ぐらいから次のことを考えられたら」

 キノコホテルは2020年にメジャーデビュー10周年を迎える。(終わり)

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